2017年12月13日

きりもみ(九話)

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 九話 最低奴隷


  コンクリートルームがあたりまえのいまどき、囲炉裏のある古い家。こういうシチュエーションでは麻縄を使う縛りがふさわしいし、奈良原は縛ることで女が見せる切なさを鑑賞するのが好きだった。智江利はそうして躾けてきたM女。しかし田崎はそこが違う。苦痛を与えるハードなS。ハードという点では同じでも質が違うということなのだが、美希も洋子もそこまで奈良原や田崎を見切っているわけではなかった。
  だからおもしろい。何をされるかわからないというのはもっとも怖いところであるし、マゾとしては期待のしどころ。
  囲炉裏の向こうへ追いやった洋子は、素っ裸の女二人に前後を囲まれ脱がされていく。今日の洋子は赤いランジェリー。赤を選ぶときの女は認めてほしくてならないもの。それは美希への対抗心。今日のところはそこを突いて責めてやろうと奈良原は考えた。
  パンティはとっくに脱いで舐めさせられた。赤いブラが剥ぎ取られて傷のない綺麗な肢体。下腹の飾り毛が生々しい。美希の乳房はCサイズ、洋子はBで少し小さかったが、どちらもバランスのいいヌードを誇る女たちだ。若妻世代であって、どちらも独身。それもまたソソる。

  奈良原は言う。
 「智江利もそうだぞ、よく聞け。これから最低奴隷を一人決める。最低の烙印は陰毛をなくすということ。毛が生えそろうまで最低奴隷の身を責められ、毛が生えてその後また一人を最低奴隷へ堕としていく。最低の烙印が嫌ならどうすればいいか、よく考えて臨むことだ」
  智江利が最低などあり得ない。美希か洋子か。互いに対抗心があるから何をしても勝とうとする。おもしろいものが見られそうだと田崎も思った。
  一糸まとわぬ裸とされた洋子は、二人の男に舐めるように見つめられ、パンティの底を裏返して舐めさせられたこともあって恥辱に震え、じつに切なげないい貌をしている。

  奈良原は思う。M性という意味でなら美希が強い。けれども美希は創造的マゾとでも言えばいいのか、子供を持たない独身の自由さもあるから腹をくくって新しい性を目指してみようとする。新しい自分として頂上を目指してみようと思える知性を兼ね備えた女。
  対して洋子は、そんな美希に対抗したい一心で、しかし切なげという点ではじつにソソるムードを持つ。M性そのものは弱くても洋子は破滅タイプだろう。ボーダーラインを超えてしまうと転落するし、転がり落ちる自分を止められない。
  そして美希には、そんな洋子の転落を羨望する知性も備わっているはず・・これは見物だと奈良原は感じたし、智江利と二人で飼う奴隷は一人いればいい。捨てられた一人は闇の中に取り残されてのたうちもがくことになる。それも調教。

 「智江利、手を後ろに」
 「はいご主人様」
  黒くソフトな綿ロープで洋子の両手を封じておいて、奈良原は智江利に目配せしながら「抱いてやれ」と言うのだった。
  両手を後ろ手に取られただけで、洋子は眉間に甘シワを寄せて切なげな貌を楽しませる。ひくつく鼻孔が淫婦の匂いに満ちている。
  田崎は洋子を見つめている。田崎のタイプはおそらく洋子なんだろうと感じた奈良原。
  智江利と美希に支えられて板床に裸身を崩す洋子。その傷のない白い裸身には、美希にはない妊娠線が誇らしく刻まれる。
  奈良原は言った。
 「さて洋子」
 「はいご主人様?」
 「叫びもがくのが最低奴隷。甘くのたうつのが上級奴隷。おまえ次第ということだ」
  はいご主人様と応えてみても洋子には意味がわからない。
 「よし智江利、はじめなさい。美希は智江利を真似ること」
  智江利はにやりと惨く笑うと美希に向かってウインクし、板床に投げ出されたマゾ牝の裸身を見つめながら、美希に言った。
 「こうするのよ、気持ちよくてよがり泣く・・」

  両手を後ろ手に縛られた洋子の体を慈しむように抱きながら、智江利は洋子の乳房を揉み上げて、しこって尖る乳首に歯をあてた。そして噛む。
 「ンふっ!」
  痛い。痛みに洋子は眉間のシワを深くして、眉を寄せ、濡れたような二つの眸で奈良原へと視線をやった。
  救いを求めるいい眸だと奈良原は眸を細める。
  智江利は言う。
 「体中を噛んでやるのよ、アソコもね」
 「ふふふ、はい」
  智江利と美希が眸を見合わせて、互いににやりと笑う。それもまたS性にあふれたいい眸だと田崎は感じた。

  智江利が熱い息で耳を嬲り、耳たぶに犬歯をあてる。そのときのたうって開かれた白い腿を美希が抱いて、腿の付け根の内側に歯をあてる。
 「あぅぅ、あぁン痛いぃ」
  ここでジタバタ暴れては最低奴隷。洋子は痛みを快楽に置き換えようと意思の力でしなやかに反り返る。
  美希が乳首を、智江利が濡れそぼるプッシーリップを。美希が首筋、智江利が二の腕。美希が乳房を、智江利が尻を。美希が尻を、智江利が開かれた股ぐらに顔を埋めてクリトリスを、噛む、噛む、噛む。

 「きゃぅ! あぁん! あぁん!」
  助けて。切なげに眉を寄せて奈良原田崎と順に見る洋子の眼差し。
  田崎が言った。
 「うむ、なるほど、痛がるだけか感じるか、最低と上級の差ということか」
  洋子には聞こえている。体中を次々に噛まれていながら、痛みに感じていられないと最低奴隷に堕とされる。痛みを脳でどう処理するか。
  美希には黒い心が目覚めている。痛がるだけで叫びもがかせ最低奴隷に堕としてやる。乳首に歯をあて頭を振って乳首を責める。
  うぃぃぃ・・きぃぃぃ・・きゃひぃぃ!
  悲鳴はソプラノへと変化していき、それでいながら性器からは蜜を垂らす。そろそろ頃合い。奈良原は言う。
 「智江利はディルドだ」
 「ふふふ、はいご主人様」
  美希に抱かれて耳たぶ、唇、舌を吸い出されて舌先を。乳房も乳首も噛む噛む噛まれる。痛みにのたうち裸身をしならせ、開かれた性器へ、次には極太のゴムのペニスを突き立てられる。
 「はぁう! あぁん、いい、イッてしまうーっ!」
  しかし次の瞬間、乳首を噛まれて頭を振られ、ぎゃぃぃーっと金属音の悲鳴。洋子は泣いた。涙が一気にあふれてきて、しかし性器を突かれると目を閉じて感じ入り、首筋を噛まれると、その閉じた目にシワが寄って悲鳴となる。

  両脚をジタバタさせて板床を蹴り、けれども膣を突かれて尻が締まって裸身が反る。快楽と苦痛が交互に襲い、洋子の意識が溶けていく。
  女なんてこんなもの。夫と別れて子供が残り、いやおうなく母親でいなければならなくなった。女の欲望なんてこんなもの。破滅だわ。それでもいい。濡らしていたい。感じていられる環境に生きていたい。錯乱する意識の中で洋子に残されたものは最低奴隷の烙印。陰毛を失って、きっと縛られ、きっとひどく鞭打たれ、泣いて叫んで、だけど深みへ向かって果てていく。ああすごい、なんて感じる。アソコが壊れたみたいに濡れている。 洋子はそんな自分をどうすることもできなくて、泣いて泣いてよがり悶えた。

  美希は呆然。何でよ洋子? これがいいの? あんたヘンだわ、イカレてる。体中に歯形がついて内出血までしてるのよ。どうしてよがっていられるの? そうよね、膣をひろげて子供を産んだ母親ですもの、苦痛を嫌というほど知っている。
  口惜しい。私だってそうなりたい。妊娠線は何なのよ! ムカつくけれど羨ましい。最低奴隷って、きっとこうだわ。陰毛さえ許されない痛みと快楽の奴隷なのよ。悩むことなんてなくなって獣の牝になりきれる。泣いてよがって狂っていられる。羨ましい。セックスでさえも私じゃ勝てない? 冗談じゃない、私だって感じる女体は持ってます!
  美希と洋子の心の中身はそんなものだろうと奈良原は感じていたし、田崎はと言えば、スタイルの違う極限を見せつけられて、おそらくこう思っているだろうと奈良原は横目に見る。『マゾ牝とはどうしてこうも美しいのか』 田崎は独身。奴隷妻という選択肢もあるのだから、欲しがるのはさてどっちだ?
  さらに智江利だ。智江利はどっちを躾けていきたいと思うのか? まずは今日から一週間、美希を囲う。子供がいる洋子はそれができず、それだけでも洋子は寂しい。
  ・・と、奈良原の中にさまざま想いが交錯し、より調教が楽しめるのはどちらだろうと視点が変化していくのだった。

  そしてそんなとき、果てなく続くバイト(噛みつき)責めとディルドの仕打ちに、洋子は『もうダメーっ』と泣き濡れる眸で訴えて奈良原へと視線をやった。髪を振り乱してイヤイヤをする洋子。奈良原は眉を上げて洋子を見つめた。
 「どうした、何が言いたい?」
 「はい、もう狂ってしまいます、あぁぁ感じる、イッてしまう。もうダメですイッてしまうーっ、私ダメぇ壊れてしまうーっ!」

  それは美希にとって衝撃的な言葉だった。マゾヒズムの極地に達した女の言葉だと理解したからだった。最低奴隷でいいからもっと責めて。洋子はそう言っている。
  衝撃的な洋子の変化・・このとき奈良原は、美希ならそう考えるはずだと想像した。マゾとしての敗北を突きつけられる敗北感。
  だったらさて、美希はどうする? 美希の本性が覗くと考えた奈良原だった。
 「よしそこまで。智江利は洋子の縄を解いてやり、こっちへ来い。二人は正座だ」
  智江利は主の企みを悟っているかのように平然と笑い、洋子の両手を解放すると田崎との間へ歩み寄り、勝手を知る田崎に裸身を委ねて座るのだった。

  囲炉裏の向こうの板床に正座で並ぶ洋子と美希。洋子は意識が朦朧としているようで体がふらふら揺れている。
  奈良原は二人に言った。
 「どちらが最低奴隷なのか、おまえたちで決めるがいい。一人ずつ思うことを言ってみるんだ」
  そのとき智江利は、若い田崎の腰を抱くように腕をまわし、横座りの尻を奈良原に向けて腰を反らせ、濡れそぼる膣に主の親指をもらいながら人差し指でクリトリスをこすられていたのだった。
 「あぁぁ、あっあっ感じます、ありがとうございますご主人様。ああ田崎様、どうかご奉仕を」
  浴衣の前をはだけ、勃起する田崎を舐め上げながら田崎の手に乳房を揉まれる。声は甘く、尻を振って主を迎え、そうしながら田崎の先を口に含んで頭を動かす。
  洋子も美希も、完成された性奴隷の姿を見るようで、ちょっと眸をやり、目を伏せる。

  洋子が力なく言った。
 「私はご主人様それに智江利様の意のままに」
  美希はそんな声を噛むように聞いていて、顔を上げて奈良原を見つめ淡々と言う。
 「私です。洋子のことが羨ましくて」
  そのときの変化はごくわずか。洋子の眸に光が射して美希の眸の光が失せた。洋子は勝ったと思っている。それもまたおもしろい。
  奈良原は言葉を突きつける。
 「洋子は美希より上でいたい。美希は洋子が上だと認めた。そういうことでいいんだな?」
  洋子は曖昧、しかし美希は「そうです」とうなずいた。
 「うむ、ではそうしよう。洋子は美希を風呂へ連れてき、毛を剃ってやることだ」
 「はいご主人様。美希はそれでいいんでしょ?」
  洋子の横目に美希は肩を落としてうなずいた。
 「はい」
  と即座に奈良原は言う。
 「はいだけか? 最低奴隷が『はい』だけなのか?」
 「申し訳ございません。お願いします洋子様」

  浴室。と言っても現代的なものではなくて檜の湯船。洗い場には白木のスノコが敷かれてあって、壁は下半分が模様タイルで上半分が白壁だった。
  二人になると洋子の態度が少し違う。
 「いい子だよ美希、可愛いよ」
 「はい洋子様、ありがとうございます」
  洋子は美希の裸身を抱いて、美希の腕がそれに応えて抱き合って、互いに唇を求め合う。対等な女と女の性行為。ただちょっと洋子が格上というだけの穏やかなキス。
  美希がスノコに寝て脚を開き、洋子がカミソリを手に最低奴隷の性器を覗き込み、毛のデルタに刃をあてる。
  剃り上げて白くなったデルタを撫でて、性器を揉むように愛撫すると、美希は感じ入った面色で、ちょっと唇を噛んで甘受する。
 「二人のとき、私は女王よ」
 「はい洋子女王様」
 「うん、よろしい。なんてね、美希への気持ちが変わっちゃった。愛してるんだもん。ソリが合わなくて憎んだこともあったけど、いまは違う」
 「はい女王様、嬉しいです」

 「競わせる。どうなるかが見物」 と奈良原が言い、田崎はちょっとほくそ笑んで、股間に顔をうずめる智江利の髪を撫であげる。そのときにはもう智江利は四つん這い。尻の穴まですべてを主に晒しながら指で犯され、尻を振りつつ田崎のペニスをくわえている。
  田崎が言った。
 「智江ちゃんは女王様?」
 「そういうことだ。あの二人に君臨する女王だよ」
  と悪だくみを語りつつ智江利をイク寸前まで責めていると、風呂場からデルタの毛を失った美希と、黒い草の茂る洋子が二人で出てくる。
 「そこへお座り」
  はいご主人様と二人の声が重なって、囲炉裏の向こうに二人は正座。  智江利は動かしてくれなくなった主の指を求めて尻を振り、逞しくそそり勃つ田崎を含んで頭を動かす。
  奈良原は言った。
 「しばらくは俺と智江利で美希を責めるが、洋子」
 「はい?」
  洋子の眸に不安の色が浮き立った。
 「その間おまえは田崎君に躾けられる。貸し出すことにしたからな」
 「はいご主人様」
 「田崎君は若いが本物。ハードなご主人様だから覚悟して従うように」
  洋子の息づかいが詰まるような微妙な緊張を隣りに座る美希は感じた。ごくりと生唾を飲む喉鳴りが漏れている。

  奈良原は言う。
 「智江利はもういい、風呂で流して服を着ろ。美希は下着をつけていい」
  二人が立って残ったのは全裸の洋子。奈良原は田崎の肩を叩くとどうにでもしてやれとにやりと笑った。
  田崎は洋子の両手首を体の前で縛り、膝をつかせて三点支持の四つん這い。浴衣を着たまま洋子を足下に見据えると、左足を浮かせて洋子の腕の輪へと差し入れ、洋子は田崎の左腿を抱いて膝で立つような犬の姿。
  田崎の手には黒く長い革でできた房鞭が握られる。
 「脚を開いて尻を上げろ」
 「はい田崎様」 はぁぁはっはっ・・と吐息が恐怖に震えている。
 「五十数えろ」
 「はい!」
  縦振りにリストを返す長い房鞭は、尻の谷を越えてクリトリスを打てるほどの長さ。バシーッと湿った音がする。
 「きゃぅーっ! ひとぉつ!」
  髪を振り乱してイヤイヤをする洋子。
  奈良原は言ってやる。
 「格上の奴隷の本気を見せろ」
 「はいご主人様!」
  バシーッ!
 「ぎゃぃ! ふたぁつ! ああ痛ぃ、痛ぃーっ!」
  次の打撃がどうやらクリトリスを直撃したようだった。きゅっと尻を締め、次の瞬間足先で板床を蹴り、腰をくねくね振ってもがく洋子。
  田崎が言う。
 「俺にすがれ。ひたすらすがる奴隷の心を覚えていくんだ」
 「はい田崎様、ありがとうございます」
  渾身の力で男の腿を抱き締めて、膝を開いてアナルを空に向けるように性器を晒す。
  バシーッ!
 「くぅぅ! みっつぅ!」

  美希の着替えた下着は黒の上下。田崎に打たれた房鞭の赤みがぼんやりひろがる紅潮した肌の色。そんな姿で美希は奈良原の隣りに座り、横から頭を引かれて膝に甘える姿となる。
 「よく見ておけよ、おまえを堕とした女への躾を」
 「はいご主人様、ふふふ」
  美希の眸の色が揺らぐようでじつにいいと奈良原は感じていた。
  美希と洋子、二人の性奴隷の女の戦いが、いまはじまる。

2017年12月01日

きりもみ(八話)

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八話 奴隷の人格


  智江利の悲鳴がより惨いものへと変化したとき、奈良原は美希と洋子の対比を思う。田崎の責めに耐えきって花唇に褒美をもらう幸せな奴隷の姿に、洋子は焦れ、かすなか敗北を悟って苛立ったのだろう。美希と洋子の不仲は洋子の側から仕掛けたものに違いない。学生だったはるか過去、その頃から洋子は美希に対して自分と同じ匂いを嗅ぎ、だから怖く、怖いから優位に立とうとした。
  美希もそうだ。同じ牝の匂いの漂う洋子に刺激され、遠ざけようとしてきた。そのへんが底辺にあっての、いまこの現実。たまり場となる古本屋は美希に近く、俺を中心に智江利がいて田崎がいる。洋子は実家に暮らして書房に遠い。まず、その距離感。

  次に、それよりさらに決定的なのは、互いに独身でも洋子は母親。実家に暮らして家族の目もある。しかるに美希は単身。思うがままにマゾとなれるし男に貫かれていても誰に臆するところがない。洋子にすれば私だってシテ欲しい。先に田崎をもらった美希を見ていて口惜しいと考えてしまう・・智江利は俺の専属奴隷、田崎一人に女が二人と、そう考えてしまうのだろうか。徹底して二人を競わせ、そのつど美希が上だと洋子は壊れる。これは面白いと奈良原は考えた。
  四つん這いで尻を開き、洋子の鞭に性器を打たれる智江利。奈良原は言いつけた。
 「待て洋子」
  鞭が止まる。
 「智江利、指でクリトリスを剥いてやれ。洋子はもっと強く、剥かれたクリを打ってやる」
 「はい、ご主人様」 と、智江利よりも洋子の声がはっきり聞こえる。
  ご主人様か・・いつから俺はおまえの主なんだと感じた奈良原。やはりそうだ、洋子はこの俺が頂上にいる主だと思っている。美希が田崎なら私はもっと上のご主人様の奴隷。その主張を美希に聞かせてやりたくて大きな声で返事をした。

 「辛いよ智江利、いくわよ」
 「はい!」
  ベシッ!
  板床に片手をついて這い、片手の指でクリトリスを剥き上げる智江利。革の束の裁ち落とされた鋭利な革先がピンクの性核にまともにヒット。開かれた尻が力の限り締められて、膝をついた両足の先で床を蹴り、床について支える左手で床を叩く。しかし悲鳴はしなかった。きゃあきゃあ騒いで逃がせるレベルの痛みではない。
  奈良原は言う。
 「もう一度」
 「はい、ご主人様」
  肘で振り上げて炸裂のときにリストを使ったフルスイング。
  ベシィーッ!
 「ぎゃぅ!」
  這ったままのたうつ智江利の肢体が跳ねる。尻を振り立て、足も手もジタバタさせて、なのにまた尻を上げてクリトリスを剥き上げる。完成された奴隷の心を見せつけられた洋子だった。

 「あぅっあぅっ、いいです田崎様ぁ、イッてしまうぅ!」
 「もっと欲しいか」
 「はい、もっと、もっと突いてぇーっ、ああイクぅーっ!」
  それもまた可愛い奴隷が発する甘声。智江利と美希、二人の奴隷の可愛い姿に打ちのめされる洋子。
  奈良原は言った。
 「洋子、もういい、ここへおいで」
 「はい、ご主人様」
  鞭が終わったと洋子はほっと肩を落とす。智江利がすごすぎて見ていられない。私だって濡れてクチュクチュ。私だって打たれたい。私はいったい何者なの? 洋子は混乱していた。

  鞭打ちがすむと、智江利は涙を拭おうともせず、奈良原に向かって膝で立って両手を頭の奴隷のポーズ。それもまた洋子には眩しかった。スリムな智江利。Bサイズの乳房でも充分ふくらみ、裸身とのバランスがとれている。奈良原はまず智江利を見て言いつける。
 「痛かったクリトリスをよくこすって濡らしてろ」
 「はい、ご主人様」
 「クリトリスだけだぞ、指を入れるな、床に汁が垂れるまでだ」
 「はい、ご主人様」
  頭の後ろに組んだ両手のうちの右手だけを降ろした智江利。下腹の黒い飾り毛の谷底へ指を這わせ、谷を開くようにしながら指先だけを動かす智江利。下唇をちょっと噛み、主だけを見つめ、小鼻をひくひく扇情的に震わせながらオナニーする奴隷。少しの愛撫でよほどいいらしく、ふっ、ンふっ、と甘い息が鼻から抜ける。

  そんな智江利からは囲炉裏の向こう。奈良原のそばに座布団をはずして板床にじかに正座をする洋子。奈良原は、膝に置かれた白い手に男の手を添えた。
 「よくやったが、いまのままではダメだぞ、最下級の奴隷に堕ちることになる」
  と、言葉で示し、しかし声は穏やかで、奈良原は両手を開いて洋子をそっと抱いてやる。
  洋子は戸惑う。叱られた。でも、どうして? なのにどうして抱いてくれるの? わからない。美希が上? 私じゃダメなの?
  洋子は抱かれていながら沈んでいた。

  惨いほど深いご主人様。主と洋子のそんな姿を、クリトリスをこすりながら見守って、智江利は心が震えていた。一組しかない奴隷の誇りを持ち込んだ田崎にもそれを感じる。美希と洋子、それに私までをも巻き込んだピアスの争奪戦。ご主人様ならきっとそう考えるに違いない。
  鞭打ちにジンジン痺れるクリトリスが熱を持って勃っていて、敏感になっている分、こすってやると身震いするほど感じてしまう。私のマゾが燃えている。智江利は奈良原という主に心酔していた。

  射精? いいや、フィニッシュ手前で抜かれた田崎。柱にくくられた縄を許された美希が、田崎の若い下腹にむしゃぶりついて睾丸を揉み上げながら勃起を喉へと送り込む。
  こみ上げる吐き気をこらえて田崎を受け止めようとする女心。美希ははじけた。一か所崩れたガードフェンスがなだれをうって崩壊し、マゾ牝美希へと変貌した。
  まっ白な尻にも腿にも、ステンピンチに泣いた乳房にも激しい鞭痕。それでいて田崎を求め、髪の毛を振り乱してペニスを貪り、ときどき見上げては微笑んでいる。
  真性マゾ。洋子よりも強い想いが噴出している。子供を持てないままに破局した結婚。洋子は幸せ。私は違う。そうした想いをぶつけるように奴隷となる。洋子では勝てない。この二人はおもしろいと智江利は思った。

 「ときどきこういうものが見たくなる。ヘンかしら?」
  チラと眸を上げ、何も言わずに微笑んでくれたマスター。あのときはSM雑誌だったわね。智江利は奈良原との出会いを考えていた。
 「後戻りできてしまう人生でいいのかなって思うのよ」
 「ふむ、それもまた妙な言葉だ」
 「どうして? どうして妙なの?」
  あのときの私は誘っていた。面倒な私に嫌気がさして、跡形もなく壊して欲しかった。この人はどこかが違う。もしやS様? そんな気がした。
 「じゃあマスター、もしも私が・・」と言ったとき、手をかざして声を止めてくれた人。他人を試すフリをして自分を確認するだけの無益な言葉。
 「真木ちゃんが安くなる」
  奴隷の性を見定める決定的な一言だった。私を高いものとして認めながら責めてくれそう。音もなく崩れ去るガードフェンスを感じていたし、それこそがS様の言葉だと感じていた。
  眸と眸がぶつかりそらせなかった。
  ご主人様に叱られて眸を見つめられ、いまの洋子もそんな想いに違いないと智江利は思う。

  美希と田崎が静かになった。噴射する男の情欲を受け取って、もちろんそれは飲み込まれ、いっときの支配者となって立ちはだかる主の腰を抱いて美希は甘える。田崎らしいやさしい責め。ご主人様がチラとそんな二人をごらんになってる。クリトリスをこする指が速くなる。イキそう。智江利はとろんと溶け出したマゾの眸で、次の命令を想像していた。
 「さて」 と奈良原が言うと、田崎がちょっとうなずいた。
  田崎が呼ばれた今日の調教はこんなものではすまないだろう。智江利だけが理解していた。
  奈良原が智江利を見て言う。
 「田崎君に浴衣を」 と言いながら、傍らに座る洋子へとほくそ笑む眸を向ける。
 「面白いものを見せてやろう」 と笑うと、ふたたび智江利に眸を向ける。智江利はそのへんの呼吸を知っているから、クリトリスをこすった手を頭の後ろに戻して、膝で立って肩幅に脚を開く奴隷のポーズ。
 「垂らせなければ仕置きだぞ」
 「はい、ご主人様」
  智江利は奴隷のポーズを保ったまま腹に力を入れてイキむような顔をする。

  下腹が締められたことで腹圧が上がり、膣が締まる。クリトリスへのオナニーで腹に溜まった愛液が搾り出され、毛群らの奥底からつーっと糸を引いて床に垂れる。洋子は淫らな汁を搾り出す智江利の膝の間を見つめている。つーっと糸を引いた愛液は流れるように床に蜜溜まりをつくっていく。
  奈良原が言う。
 「うむ、よし、充分感じたな?」
 「はい、ご主人様、恥ずかしいです」
 「舐め取って、田崎君に浴衣を出してやりなさい」
 「はい、ご主人様」
  奴隷のポーズを許された智江利は、膝を揃えて正座をしながら唇を板床に寄せていき、蜜溜まりを吸い取って床を舐め、それから立って背を向けた。ほどなく戻り、綺麗にたたまれた浴衣を田崎に手渡すと、ふたたび奴隷のポーズで控える。
  奈良原は美希を呼び、智江利の横に同じポーズを強制した。
 「二人とも尻を向けて這え。胸をつけて尻を上げる。クリトリスだけをこすってやるんだ、中には入れるな」
  智江利は即座に返事をしたが美希は一瞬戸惑って、しかし智江利のするように同じポーズを真似て這う。乳房を板床につけ、肩幅に膝を開いて尻を張る。アナルまで一切を隠せないマゾ牝の姿。二人ともに醜悪な牝の根源を晒しきり、濡れで陰毛がまつわりつく性器を囲炉裏のこちらに見せつけて、指先でクリトリスだけを刺激する。

  囲炉裏のこちらに奈良原と田崎があぐらで座り、洋子は正座。囲炉裏の向こうの痴態を見せつけられて、洋子はひそかに生唾を飲んでいた。
  女の本性。おびただしい濡れ。さらに美希は田崎に貫かれていることで膣口が弛み、ぽっかり穴を見せている。
  見ているだけで息の乱れる洋子。私だけが着衣のまま。だからなおさら裏側までを見透かされるようで恥ずかしい。
 「さて洋子だ」
 「は、はい?」
  身の毛がよだつ。奈良原の声が女心に突き刺さり、またそのとき向けられた田崎の眸にも恐怖を覚える。キュンとした想いが括約筋を締めたらしく濡れが染み出す感覚が性器にあった。
 「脚を揃えて膝で立つ。下着を取って裏返し、田崎君にお見せしなさい」
  ああ嘘よ、そんな。脱げと言われて責められるほうがどれほどいいか。恥辱の悲鳴がうぐぐと喉の奥でくぐもった。血の気が引く感覚が洋子を襲う。

  正座から腰を浮かせば短すぎるミニスカートから白い腿が露わ。下から手を入れ、赤いデルタを見せつけてパンティの両サイドに手をかけて、尻ちょっと振るようにして下げていく。解放された性器に冷えを感じ、それはどれほど濡らしているかを物語るもの。
  スカートのラインを越えてパンティが下がったとき、すでに裏地が見えていて、その裏底が濡れを素通しにするほど蜜であふれる。
  洋子の面色が青い。羞恥と恐怖の入り交じった、これ以上はない恥辱。
 片膝ずつ少し上げて赤い布地を抜き取って、洋子はそれを両手に持って裏返し、ヌラヌラ濡れて匂うような底部のありさまを田崎に差し出し、体をふるふる震わせた。
 「ふふん、だろうな、いやらしい女だ」
 「はい、恥ずかしいです」
  田崎に言われ、語尾に向けて消えゆく声。引いていた血の気が一気に逆流して頬が燃えるような熱が襲う。
  奈良原が言葉で責める。
 「まったくだ、マゾの証のようなひどい濡れだ。よく舐めて綺麗にしろ」
  奈良原の命令は絶対だった。奴隷の身を受け入れて、尻の底までを見せつけてオナニーさせられる美希そして智江利。智江利はともかく美希にだけは屈したくない。最下級の奴隷なんて絶対イヤ! 美希にだけは君臨したい。

  洋子は、手の中で裏返された透き通る濡れをじっと見つめ、顔に寄せて舐めていく。私はいま私の欲情と向き合っているんだわ。私だけが着衣でいる口惜しさを思い知っているんだわ・・洋子の心は揺れていた。
  奴隷と言うなら私のほうが先だった。浣腸されて排泄までも晒してしまった。なのにどうして美希に追い越されてしまうのよ。絶対イヤ、私は負けない・・そんな洋子の想いは奈良原には見透かせる。美希より下で扱われると洋子は哀しい。そこから逃れようともがくだろうし、それがマゾへのモチベーションとなっていく。
 「ンふ、あぁぁ」 そのときかすかな喘ぎを漏らしたのは美希だった。男二人、それによりによって洋子に対して痴態を晒し、なのに感じて感じてたまらない。奴隷となるなら洋子よりも感じる女になってやる。可愛がられる奴隷でいたい。指の刺激にどうしようもなくなって、そうして自分に言い聞かせ、そしたらそのとたん、快楽がマグマのようにやってきた。
  智江利は智江利で甘い息を吐いて尻を振る。

  洋子の眸が据わってきていると奈良原はほくそ笑む。恥辱の快楽に際限なく濡らす二人の奴隷への羨望。そろそろいいかと奈良原は考えた。
 「それまでだ二人とも。二人で洋子を抱いてやれ」
  え? 抱いてやれ? レズってこと?
  洋子は意味が解せずに奈良原の横顔をうかがったが、向こうへ行けと眸で合図を送られて、立つしかなかった。