2017年03月15日

絶望の愛(四話)


四 話


 あの夫が義父の不倫の子・・それもマゾ女に産ませた子・・。

 でも・・だから何よ。その不遇な弟に家を譲るために義兄は身を退いたって言うのかしら? 弘美に会わなければならなくなった。結婚したときすれ違いに離婚して出て行った前妻。会って確かめないと気が済まない・・しかし、そんなまっとうな思考は遠のく意識とともに弓枝の中から消えていった。
 素っ裸。後ろ手の手錠で自由を奪われ、激しく怒張する義兄のペニスを見せつけられて、膣を犯す太いディルドは狂ったように振動し、間欠する電気ショックがクリトリスを鞭打つようで・・意識が濁る・・屈するものかと思ってみても女の体は哀しいまでに反応している。

「んむむ・・嫌ぁ、もう嫌ぁぁ!」
「家のことなど忘れてしまえ、思うまま感じるままに生きることだな。それもおまえよ・・ふふふ」
 康平の両手がすっと乳首に近づいて、乳輪をすぼませて尖り勃つ二つの乳首をそっとつまむ。弓枝は目を血走らせて義兄の指の動きを怖がった。感じたくない。感じてしまう。夫以外の男に嬲られイッてしまう。
 転がすようにそっと愛撫される乳首・・そのときクリトリスに電流が突き抜けて、内臓までが震えるような振動が性器の深部までを刺激する。塗り込められた媚薬の力も失せてはいない。

「うっ! くぅぅぅ・・うむむ!」
「どうした弓枝、素直になれ。感じたままを表現しろ」

 弓枝は泣いた。涙をまき散らし、腰をクイクイ入れて、しなしなと裸身をくねらせながら襲い来るピークと戦った。まっすぐ見下ろす男の視線。康平の微笑みには黒い企みが隠れている。わかっているのに、せめてやさしくされたいと思ってしまう。ああ感じる!

「あぅ・・ぁ・・お兄様、お願いします、もうダメ・・許して」
「ダメとは?」
「だって・・だって・・あぁイクぅ・・もうダメぇーっ!」

 康平は声もなく笑うと、ソファの肘掛けに置いた小さく黒いスイッチボックスに手をやった。
 オフ。振動も電気ショックも停められて、なのに弓枝の膣は求めるようにディルドを喰い締め、尻肉が締まってはゆるんで波打って、脂汗に濡れる全身を震わせた。
 そしてその震えが退いていくとき、意識がかすんで弓枝はコンクリートのフロアにしなだれ崩れた。
 康平は立ち上がり、後ろへ回って手錠を許す。ようやく解放された両手なのにだらりと垂れて動かせない。目は開いていたし意識もかろうじて残っていた。にもかかわらず弓枝は心が消え失せてしまっていた。

 長い髪をつかまれて空間の中央へと引きずられ、両方の足首に黒く幅広の革ベルトが巻き付けられる。天井から下がる鉄のフックがモーター音をくぐもらせて降ろされて、足首のベルトの左右別々にあるステンレスの鉄環にワイヤーが通されて、鉄のフックが反転して上昇していく。
 そんな光景を見ていながら、快楽に溶けた女の心は無抵抗。混乱しきった感情は、むしろ静かに凪いでいた。

 両足先がフロアを離れた。自由になった両手をついて引きずられる体を追いかけてみるのだったが、尻が浮き、背中が浮いて、頭と手だけで支えるようになってしまう。
 上昇するにつれて脚が開く。身をよじってもがいても体はさらに浮き上がって開脚を拒めなく、だらりと垂れ下がった手先だけがかろうじてフロアに触れる。
 Yの字の逆さ吊り。汗にヌラめく逆さの裸身が右に左にしなり歪んだ。
 腰のところで悪魔のパンティを固定する南京錠が外されて、締め付けがゆるんだと思ったとき、打ち込まれたディルドが腹に溜まった淫水に押し出されるようにドロリと抜けた。
「ほほう、あさましいものよ・・牝の欲情そのものだ」
 それは女らしい粘液の体裁さえも保てずに、膣口から汚物のように湧き出して、アナルを越えて尻の谷間へ、デルタの毛むらをくぐり流れて腹にまで。ドロドロとしたたり流れている。
 あさましい性器を覗いて康平が言う。
「太いものをくわえていて、ぽっかり穴が開いているぞ」
 弓枝は、せめて動く両手で乳房を抱いて泣いていた。

 逆さに見える康平が壁際から黒い革の房鞭を手に取った。革一枚が厚そうで鞭が長く、それにペニスのような握りがつく。このとき康平はガウンさえも着ていない。男性器を屹立させたままの男の全裸。弓枝は破滅を思い描いた。
 鞭は、革幅一センチほど、長さは一メートルもあっただろうか。康平はYの裸身の後ろへ回り、虚しく濡れる若妻の秘部を覗くと、鞭をばさりと股間にかぶせた。
 それだけの刺激で女の裸身に痙攣のような震えが走る。開かれた尻肉が締められてくぼみをつくり、一瞬後にゆるめられてブルルと震える。扇情的だ。
「貞淑など捨ててしまえ。手を下げろ、隠すな。躾の鞭と仕置きの鞭は違うぞ」
「嫌です、鞭なんてそんな・・お願いお兄様、もうやめて」
 背後に立つ康平。鞭先が重力の重みで性器をこすって尻の谷へと引かれていって、嬲られた余韻なのか、弓枝はあっと呻いて目を閉じる。

「思うままによがれ」

 ふわりと鞭の動く黒い影がフロアをよぎり、刹那、バシーッと重い音を響かせて、開かれた尻肉の両方を横殴りに打ち据える。
「くっ!」
 尻が締まり、腹圧が上がったことで、閉じきれない膣の穴から淫水があふれ出す。
 バシーッ!
 二度目は強い。
「隠すなと言ったはずだ。乳房を揺らせ」
「はい、お兄様、お願いですからひどいことはしないで。お兄様を疑ったりした私が馬鹿でした、ごめんなさい」
 何としてもこの場をしのぎたい。弘美に会って確かめて、嘘だったら訴えてやる!
 康平はほくそ笑んで言う。
「俺を疑っただと? ふふン、どうでもいいさ・・あの家のことなどどうでもいい」
 それからバシバシと二打尻を打った鞭先が前へと回って、乳房を二打。革の先が乳首を切るようで弓枝はとうとう悲鳴を上げた。
 逆さに吊られて血が下がり、顔が膨張するような熱を感じる。

 革の先がふらふら揺れて背後へ回り、縦振りのフルスイングが、開ききった股間を襲う。ベシーッと濡れ音が混濁する。
「きゃぁぁーっ!」
 Y吊り裸身が前後に揺れる。尻を絞ってくぼみが深く、ゆるんでたわたわ波紋を伝える。
 尻を打たれ、乳房を打たれ、腹を打たれ、腿の裏を直撃し、その合間に一打ずつ厳しい性器打ちの鞭がくる。
 ベシーッ!
「あっあっ! ぅぅン・・ンっふぅ・・」
「ほうらいい。鞭によがる女になれ。もっと甘く泣くがいい」

 そんな馬鹿な・・痛みは痛みでなくなって、激しい愛撫に変化している。

 二十打・・三十打・・全身真っ赤・・打たれるほどに悲鳴が消えて、くぐもった呻き・・喘ぎ・・女の甘い声に変化している!
「どうやらよくなってきたようだな。女とはそういうもの。これは愛だ・・」
 どうやら鞭が許される。コンクリートのフロアにバサっと落ちた革の塊。鞭先が汗と淫水で黒光りしている。
 ウインチが操作され、さらに上昇して脚が開く。康平の激しい勃起が目の前に睾丸から寄ってきて、凝視したその瞬間、思ってもみない舌の愛撫が鞭打ちにひしゃげたラビアへやってくる。
「おぅぅーっ! いい、あぁン、いいのぅ、感じますぅーっ!」
「そんなにいいか?」
「はいご主人様、いい、ああイッちゃうぅーっ!」

 弓枝はワラにもすがる思いで、眼前に突きつけられる義兄の勃起にむしゃぶりついた。男の尻に手を回して抱き締めて、無我夢中にペニスをしゃぶる。
 康平の舌が濡れそぼった淫ら汁舐め取るように性器を這い、すぼめた口でクリトリスを吸い上げられて、弓枝に屈服のときが訪れた。
 意識が白く飛んでいく・・男性器を喉奥に突き立てて声も出せず、弓枝のY字裸身が激しく痙攣して果てていく。
 恐怖だった。これほどの絶頂を知ってしまえば私は性奴隷にされてしまう・・終わった・・もう終わったと、消えていく意識の中で弓枝は思った。
 口の中におびただしい射精を受け取って、嚥下して、白くなった意識が一気に黒くなって幕引きだった。

「子を成すことのない精液だ。たっぷり味わうがいい」
 朦朧とする意識の中で、そんな言葉はひどく不思議な意味を持って、弓枝の心を覚醒させた。放心しながらも弓枝は顔を上げて言う。
「・・どういうこと?」
「精虫が少ないそうだ。弘美は子供を欲しがったが何年経ってもできない。それで俺は密かに自分の精液を調べてみた。いわゆる無精子症。妊娠させることはないだろうと医者に言われた。ところが弘美は妊娠した。誰の子だ? 問い詰めたら白状しやがった。親父が元気だった頃、あのクソ爺め、弘美に手を出そうとしたそうだ。それを啓史が救い、それからヤツらは仲良くなった」
 愕然とした。弓枝は今度こそ考える気力を失った。
「しかし弓枝、弟を悪く思うな。その頃のおまえはまだ弟と知り合ってはいなかったはずだ。弟はあの家に住んでいた。何かの折に家を訪ねた弘美に親父が手を出し、啓史が間に入ってとめたということ。当時すでに弘美と俺は冷えていた。弘美が啓史を愛したとしても、弟はおまえを裏切ったわけではないからな」
「・・それが離婚の原因なんですね?」
 康平はちょっと苦笑して、くだらんと言うように首を振った。
「それもあるということさ」
「そのことを主人には?」
「もういい・・くだらん・・」

 康平は、いつも通りのつかみどころのない男に戻るかのように口を閉ざし、ウインチがそろそろと降ろされて、弓枝は康平に頭を支えられ、そのまま膝に抱かれるように横たえられた。

2017年03月14日

絶望の愛(三話)


三 話


 防御姿勢をとる前に踏み込まれてしまった。
 確かに艶子の夫はこの家の長男であり、相続放棄などという身内の些末を知らない者たちにすれば家を継いであたりまえ。頼みの次男が倒れたいま、それを訴えたところで法的にどうなのかは弓枝のうかがい知れないことだった。

 今夜から同居する。寝耳に水。長男の嫁をふりかざされては次男の嫁はどうしていいかもわからない。追い返してしまえばいい。けれどそれで恨まれないか。あべこべに訴えられることになりはしないか。考えてみれば結婚して夫の実家に住んだというだけで家の内情まではよく知らない。
 それよりいまは悲劇に見舞われた夫と老いた父だけは何としても守らなければならない。弓枝の中にとっさに浮かんだのはそれしかなかった。

 急なことで支度はできていなかったが、とりあえず一階に四部屋あるうちの、正太郎の居場所とは真逆の隅の部屋へと通す。そこは客間で、床の間を別に十畳あって普段は使われていないひっそりとした広間。
 艶子は、まさに手下のような留美に言いつけて荷物を運ばせ、弓枝の後について部屋へと向かった。荷物はもちろん艶子のクルマ。今日のところは赤い大きなスポーツバッグがひとつらしく、荷物を取りに出た留美はすぐに追いすがって後につく。
「今夜のところはここを使ってください。それからのことは考えますから」
 弓枝は震える思いをひた隠しに平常を装った。二階にある三部屋のうちの二間は弓枝と夫の部屋。もうひとつ四畳半があったのだが、そこは衣装部屋のようにされて夫婦の物置きとして使っている。

 十畳の客間は和室で床の間があり、桜花の掛け軸が飾られて西条家の威厳をあらわすような造作。和室にはミスマッチの赤い大きなスポーツバッグを持ち込んだ留美が先に部屋へと入り、荷物を置く。間に弓枝、最後に艶子が敷居をまたいだ。
 やおら艶子が言った。
「疑うのは勝手よ。だけどそれにしたって長男の嫁に対して失礼なんじゃないかしら。主人にしたって心配だからあたしたちをよこしたの。こんなことになってあなた独りでどうするつもり? 義父さんはあんなだし、これで啓史さんにもしものことがあれば、この家そっくり丸取りよね?」
 静かな声だったが厳しい眼差しをぶつけながら艶子は弓枝に迫り寄る。
 言葉も返せないまま一歩二歩と後ずさると、いきなり後ろから留美の両手が脇の下をくぐり、羽交い締めにするにして、弓枝の二つの乳房をシャツの上からわしづかみにした。

「な、何をするんですか!」
 顔色が青くなる。身をよじって逃げようとするより先に、艶子の強い声が飛んだ。
「弓枝! これは愛なの! こうするしかないのよ!」
 弓枝は呆然とするだけで意味が解せない。
 このとき弓枝は、二人の突然の来訪に着替える間もなく、普段着のジーンズミニに白いTシャツを着ていた。後ろから組み付かれて乳房をわしづかまれ、声を上げようとする前に、艶子の手がスカートの前をたくし上げて腿の間へ差し入れられる。
 パンティ越しにデルタと性器をつかむように迫られて、あまりの急変に弓枝は声も出せなくなった。全身に悪寒がはしる。
 腿根を閉ざして腰をよじり、指から逃げようとしたのだったが、艶子の二つの眸が眼前に迫っていた。

「おとなしくしないと承知しないわよ! 取り残されたあなたへの愛。裏切りは許さないから!」

 声高に言われ、それでいて涼しく美しい瞳だけに、弓枝は魅入られて身震いした。
 後ろからまつわりつく留美にTシャツをまくられて普段着のベージュのブラが跳ね上げられ、Cサイズの若い乳房がこぼれ落ち、留美はその白い柔肉を揉みしだきながら、両方の乳首に爪を立ててツネリ上げる。

「ひぃぃーっ!」

 激痛。そして直後に、前からパンティをくぐった艶子の手がデルタの毛むらを撫で上げて、カギ状に曲げた指の強張りが渇いた淫裂へと侵入する。
 弓枝は血の気が失せて顔が白い。鼻の頭の触れ合う距離で艶子は弓枝の眸を覗きながらにやりと笑った。
「ほうら熱い・・こうされて震えちゃうでしょ・・ふふふ」
 恐怖で声が出ない。逆らったら何をされるかわからない。「耐えろ」と言った義父の言葉が思い出された。
 息をするのも苦しい。虫の息。弓枝はただ呆然として、見据える艶子の瞳に見入っていた。
 閉じたラビアをほぐすように指がまさぐり、クリトリスが弾かれる。逃げようとしてちょっとでも尻を振ると、密着する留美が尻の強張りを感じ取って即座に乳首をツネリ上げる。
 力が抜けた。絶望の震えが全身にひろがった。

 と、そこで一度、艶子は股間から手を抜いて、浅黄色のショルダーバッグに忍ばせた白く小さなチューブを取り出した。淡いピンクのゼリーのようなものを、ほんの少し人差し指にすくうと今度こそ残忍に微笑んで、ふたたびパンティの奥底へと差し込んだ。

 クリトリス・・ラビア・・膣口と指をまわして塗り込めていく。

「強烈な媚薬よ、欲しくて欲しくてたまらなくなりますからね」
「・・嫌です、ねえ嫌ぁ、嫌よぉ」
「ふんっ。じゃあこれは何かしら。アソコがじっとりしてきたわ。嫌なのにどうして濡らすの。おとなしくなさい。これは愛なの。いいこと、これは愛なのよ、いまにわかる」
 後ろから乳房を手荒く揉まれ、乳首をコネられ、前から性器を嬲られる。
 白かった弓枝の頬が性的な熱を持って紅潮しだし、息が熱く乱れ、腿が少しずつだが開いていく。
「そうそう、いい子よ・・ほうら濡れる・・ほうら気持ちいい・・ンふふ」
「はぁぁ・・あン・・んっんっ・・」
 心を串刺すように見つめる艶子の眸から視線が外せず、まるで催眠術に堕ちていくように意識が崩れ、肉体だけが反応しだす。
「もうクチュクチュじゃない。ほうら濡れる、もっと濡れちゃう。オツユがあふれてきたじゃない。よく感じるアソコだわ。ほうらいい・・気持ちいいわね・・」

 間断なく喘ぎが漏れた。目眩のような性感に良妻の輪郭を崩されて、弓枝の本性が剥き出しにされていく。
 声を噛む。義父に聞かれる。それだけはダメだと弓枝は思った。
 どうしたことか腰が動く。濡れる性器を艶子の指にこすりつけるようにクイクイ腰が入って喘ぎが漏れる。
 媚薬が性器で暴れていた。これほどの快楽を弓枝は知らない。花園すべてが熱源となり、愛液をとめどなくあふれさせ、総身フルフルと微動する。

 艶子の目配せで後ろからTシャツを抜き取られ、ブラが捨てられ、ミニスカートとパンティが事もなげに下げられて足先から抜かれていく。弓枝は抗う気力も失せていた。狂った性感に紅潮する若妻の全裸。
「ふーん・・思ったよりもいいカラダね。これでもう悩むことはなくなった。女は愛を受け取って生きるもの。それがどんな愛だろうと、私ならそうするわ」
 反撃できないままに裸にされた。その両手を留美に後ろへ取られ、冷たい金属の手錠。気づいたときには腿はがに股に開かれていて、縮れ毛の濃いデルタをまくり上げるようにして、突き刺す艶子の指を求めた。

 しかし艶子は指を抜き、ヌラヌラの指先を弓枝に突きつけると、穏やかに微笑んで、そっと二つの乳首に手をのばす。留美がしたように最初はコネて、いきなり強くツネリ上げる。乳房が乳首で吊られて円錐状に上を向く。
「ぅぃぃーっ、痛いぃーっ!」
「可哀想ね、痛い痛い・・もっといい思いをさせてあげるね。さあ留美、穿かせておしまい!」
「はい女王様。ふふふ、可哀想なことになる・・」
 女王様・・そんな言葉に弓枝はあやうく意識を飛ばしてしまいそう。恐怖の意味が性的な責めへと決定的に変化した。

 背後でしゃがむ留美。弓枝の足先に下着を穿かせるような感触が伝わった。
 足先からふくらはぎ・・太腿を滑った冷えた感触が尻のふくらみへ近づいて、留美は尻肉を開くようにして後ろから性器を覗き込み、冷たくソフトなその先端がラビアに触れたと思ったとたん・・。
「あぅ! あぁーっ!」
 それは太いペニスとなって無造作に膣口へ突き立った。ヌムヌムと奥底までめり込んで、その後を追うように革の感触が尻へと引き上げてられて、すぼまったウエストでバックルで固定され、小さな南京錠がかけられる。
 乳首に激痛。弓枝は抗うことができなかった。

「さあいいわよ、いまはまだそれほどでもないでしょうけど、向こうへ行けば狂うから」
 艶子は留美に目配せすると、留美だけを家に残し、全裸にTスタイルの黒い革のパンティを穿かされただけの弓枝を外へと連れ出した。東京の街中にあって里山のような林に周囲を閉ざされ、家はさながら森の中の別荘のよう。
 艶子のクルマは国産の大きなセダン。そのトランクを開けられて、素っ裸の弓枝は尻をパンと叩かれて放り込まれる。
「やさしくされたいなら暴れないことよ。さもないと拷問ですからね。向こうへ行けば歓びが待っている・・あははは!」
 これは何かの間違いだ・・悪い夢だ・・弓枝は凍り付いていた。

 走っては停まる、また走っては停まるところから、高速道路ではなかっただろう。府中を出て三十分ほどだったから、それほど遠くへは来ていない。
 クルマが今度こそ停まる。エンジン音が消えて、しーんとした静寂。
 トランクが開けられた。漆黒の闇の背景に鬱蒼とした森がひろがっている。西条の家を囲む林とは違って樹木は太く枝葉が張って、どこか樹海の中のようでもあった。
「さあ出なさい」
 後ろ手の手錠をつかまれ、トランクの縁に脚をかけてころがり落ちると、地べたには下草が薄くひろがっていた。
 西条の家とは比べものにならない小さな家・・屋根の平らなコンクリートの建物だったが、窓の位置から造りは住まいかと思われた。
 そして、停めた艶子のクルマの奥に縦列でもう一台。白いベンツが置かれてあった。
 艶子は、全裸の弓枝の背を押すと、建物の正面には向かわずに、ベンツを回り込んで裏へと弓枝を引き立てた。星空の闇夜に白い女体の蠢きが生々しい。

 家の裏には、別棟とされたコンクリートの納屋のようなものがあり、ダークシルバーに塗られた鉄の扉がついている。家に比べてこちらはずっと新しい。扉は軋むこともなく軽く開き、入ってすぐ地下への階段となっていた。踊り場のない直線的な階段が地獄への道のように薄闇の底へと続いている。
「連れてきたか」
「ええ、素っ裸でね」
 艶子に背後を封じられて階段の中ほどまで降りたとき、闇の空間に眩いほどの明かりがついて男の声が響いてきた。家の側からも地下へ降りられるようになっている。
 黒いロングガウンを着た長身の男。夫の啓史とは似ても似つかない彫りの深い顔立ち。自由業らしい肩までの長髪は、しばらく見ない間にシルバーアッシュに染められていた。

 西条康平、四十四歳。こうなるだろうと弓枝は思った。

「じゃあ後はお好きになさいな。あたしは戻って留美といます」
「うむ、親父のこと頼んだぞ」
「わかってますって、可愛がってあげるから」
 そんなことを言い残して艶子は踵を返して去って行く。
 地下空間はまだ新しいコンクリートの空間で思いのほか広かったし、天井も高く造られてある。ここはいったいどういうところか。
「いいカラダだ、こっちへ来い」
 しかし弓枝は動けない。コンクリートの天井には鉄のフックの下がるウインチがあり、そのほか磔台・・壁際には麻縄や無数の鞭・・三角木馬・・あきらかに普通ではない淫虐の臭気に満ちている。
 康平は、そんな空間の中に置かれた黒いレザーのソファに座り、手の中にある小さな黒いボックスを操作した。

「きゃぅ!」
 膣に打ち込まれたディルドが眠りから覚めるように激震し、ほとんど同時にクリトリス周辺を強烈な電気ショックが襲う。
「くぅぅーっ! きっきぃぃーっ!」
 形のいい乳房を暴れさせ、白い裸身をくの字にしならさせ、極度の内股となって身を屈める弓枝。しかし責めはすぐにやんだ。
「これが嫌なら素直になって従うことだ。いいな!」
「ぅ・・う・・」
 応えられずに見つめていると即座にまた性器に悪魔の責めがくる。
「きぃぃーっ! わかりました、ごめんなさい! ひぃぃーっ!」
 振動も電気ショックも最初のときとはパワーが違う。全裸の弓枝は乳房を弾ませてぴょんぴょん跳ねて、直後に床に崩れ落ちた。
「わかったら来い」
「はい・・でもお義兄さん、どうして・・」

 弓枝は泣きながらよたよたと歩み寄ると、指差された椅子の前へと膝から崩れた。康平の二つの瞳は透き通り、地下の薄青い光線を受けて煌めいている。悪魔の眸色だと弓枝は思った。
「もっとそばへ」
 そう言いながら康平は黒いガウンの帯を解いて前をはだけた。ガウンの下は熟した男の全裸。夫の康平は背丈は普通でも筋肉質。なのに義兄は、背が高くてスリムな裸身。何より顔立ちがまるで違う。兄弟とは思えなかった。
「しゃぶれ」
「ぁ・・ぁぁ・・」
 康平の陰毛は臍の下まで生え上がり、剛毛の中から萎えたペニスが垂れている。弓枝は義兄の裸身から目がそらせない。
 康平が手の中の黒くて小さな電池ボックスを見せつけた。
「はい、わかりました、はいお義兄様、もう逆らったりしませんから」
 体ごと股間にぶつかるように夫以外の萎えたペニスを口にする。ほおばって亀頭を舐め回し、しだいに充血してくる凶器を恐れながらも奉仕した。

「おまえは何も知らんのだ、俺のサディズムは親父ゆずりよ」
 弓枝は勃起しだした康平をくわえたまま顔を見上げた。
「俺には妹がいたが幼くして死んでしまった。それでそのとき、親父は囲い者だったマゾ女に産ませた子を引き取って育てようとした。それが啓史だ。くだらんのだ。あの家は何もかもがくだらん。俺は出た。関わり合いになりたくない。財産などに興味もない。しかし啓史がこんなことになってしまえばしかたがない」
 その意味がすぐには理解できない。ペニスから口を離して弓枝は言った。
「・・そのことを弘美さんは?」
「もちろん知ってはいるが、あいつとの離婚は質が違う・・さあ狂え弓枝、おまえはもう俺の女だ。ふっふっふ!」
「きゃぅ! ひぃぃーっ!」
 手の中のスイッチが弓枝に破滅を突きつけた。弾かれたようにペニスをしゃぶるが悪魔の責めは終わらない。
「むぐぅ! むぐぅーっ!」
 イクイクと叫ぶがペニスが喉へ突き立って声にならない。
 錯乱する快楽・・もう何も考えられない・・意識が白く飛んでいく。