2016年12月05日

FEMDOM 花時計(終話)


終話


 奴隷部屋はあの子にとって泣き部屋でした。責められて泣くことよりも、放置されて孤独で泣くことの方が多いと思う。
 一本鞭かな? 睾丸を蹴ってみる? 針だって面白い・・とワクワクしながら連れ込んで、だけど一瞬後に考えが変わってしまう。
 トイレから奴隷部屋へ。だけど思い直してリードを引いて、お昼前の日当たりのいいリビングに連れ出して、そう言えばずっと日陰で可哀想。サッシ越しの陽を浴びさせながら、私はソファに脚をM字に開いて上げて、アソコを舐めさせていたんです。

 ただし乳首には、あの分銅付きのギザギザクリップで挟んでやって。四つん這いで夢中になって舐めるほど錘が揺れて、顔をしかめて舐めてます。
「痛みは奴隷の快楽よ、わかった?」
「はい、女王様」
「痛みで射精できるようになれば奴隷暮らしは天国だわ」
「はい、女王様」
「亀頭をこする射精はないと思いなさいね。そんなガイコツチンポ、触る気もしませんから」
「はい、女王様」
「仕事もせずに犬みたいに飼われてるだけで食べていけるなんて感謝でしょ。どっかのSMクラブにでも貸し出してSMショーで稼がせてもいいけれど・・
ふふふ、それはないわね、おまえは私だけのもの、そう決めたの」
「はい! ご奉仕します!」
「もっとお舐め」

 私だけのものと言われたことが嬉しかったのか、瞼を濡らして懸命に舐める奴隷です。
 乳首につけたクリップは、乳首を潰しきるまでギシピシ軋んでいたけれど、もう音はしませんでした。
 浅いアクメがずっと続くペロペロ奉仕。一時間か、それくらいした頃に、泣きべそが呻きだし、はっきり涙を垂らしたのです。
「乳首痛いの?」
「はぃ、千切れそうです」
「いいわ、許してあげる」
 それで両方ともを無造作に開いてやったら、それだけで・・。
「むうう、痛いぃぃーっ! えーんえーん、えぇーん!」
 子供みたいに、えぇーんと泣く。
 後ろを向かせ、ソファから身を乗り出して抱きながら。
「許すから、後ろ手でアソコを触ってごらんなさい」
「はぃ、嬉しい・・」

 羽交い締め抱きをして、ぺったんこに潰れた乳首を爪先で弾いてやります。
 奴隷の手が後ろに回され、腿の内側を撫でながら奥へ来て、指先が濡れるクレバスに触れるんです。
「わかる? 濡れてるアソコよ」
「はぃ」
「幸せ?」
「はい女王様、幸せです」
「じゃあ・・ふふふ、乳首をどうして欲しいかな?」
「はい、ツネりあげて可愛がってくださいませ」
「こうやって?」
 グリッとコネたわ。
「うわぁぁーっ!」
 激痛に全身が硬直します。
「痛いね、可哀想ね、イケるんなら、いいわよ、飛ばしてごらん。ピュピュッて飛ばしていいからね」
 指先に力を集め、爪を立てるようにしてグリグリとコネてみる。
「ぁくく・・痛いぃ・・でも女王様、気持ちよくなれるまで頑張りますから、ウンチもいただきますから・・ありがとうございます・・ぅぅぅ・・えーんえぇーん、痛いぃぃーっ!」
「あははは! 言ってることが支離滅裂・・あははは!」

 だけど・・。

「はぁぁん・・気持ちいい・・出そうですぅ・・」
 声が泣きよがりに変わっていく。
「いいの? こんなにされて?」
「はい気持ちいいです・・だって・・だって・・」
「だって何よ?」
「女王様が大好きで、女神様で・・どんことでもいたしますからぁ・・嬉しいです・・あ!」
「イクの?」
「はい出ますぅ、ゾクゾクしますぅ」

 それで私は、鋭い爪先を乳首にまともに食い込ませて渾身の力で潰してやったわ。ヌルヌルした血濡れが指先を滑らせて、だから爪を立てたんです。
「ぐわぁーっ! ひっ!」
 脇越しにのぞいていたペニスが、ドクドクとした脈動の後、さらに一回りほど太くなり、水鉄砲みたいな射精をした。一メートルほども飛ばし散らす、可愛い男のアクメです。

「おまえ・・」
「はぃ・・ぁぁ気持ちぃん・・夢みたいぃ・・」
「好きなんだね私のことが? 真心なんだね?」
「はい。捨てないで。ご主人様ができても、どうか僕を捨てないでください。僕、死にます」

 涙が出そうになりました・・。

 奴隷部屋に連れていき、鞭打ち台に据え付けて、お尻のプラグを外してやって、太いペニスのついた責め道具を私の腰につけ、犯し抜いてやったのです。
「おおう! 狂います、狂っちゃうーっ!」
「鞭も好きになるんだよ!」
「はぁい!」
「針もね!」
「はぁい! 女王様のおためなら、笑顔のためならどんなことでも。ああ気持ちいい・・嬉しいぃ!」

 この子はマゾなのだろうかと、お尻の火傷絵を見ながら思ったわ。
 最初はきっと若い性欲で私の下着に興味を持っただけだった。汚れたパンティを鼻先で見つめてて、もしかしたら・・。
 深く突き刺したまま動きを止めて私は言った。
「おまえ、私の汚れた下着を見ていて、どう思った? 隠さず言ってごらん」
「はぃ。べっとりと糊みたいな汚れがついてて、これは女王様のお体から出てくるもので・・素敵な女性の紀代美様もどうしようもない女の体をお持ちなのだと感じてしまい」
「嫌だわ、恥ずかしい」
「はい、ごめんなさい。でも、それを舐めてみて・・」
「舐めたの? 汚れを?」
「はい。ごめんなさい」
「変態。サイテー」
「はい変態です・・でも、そしたらなんだか嬉しくなって・・」
「嬉しくなった?」
「はい。ウンチもするしおしっこもするだろうし・・だけど普段はすごく素敵で・・そんな生きた女性と一緒にいられることが嬉しくなって。僕はずっと独りぽっちだったから・・ママなんて汚くて、アバズレで・・」
「それで私が好きになったの?」
「はい、惚れました、この方こそ女神様だと思ったら、お捧げしたいと考えて」
「私のために?」
「はい。可哀想に離婚されてお子様まで奪われて、僕がずっと守ってあげたいって考えて。息子になってあげられると思って。だけど・・」

「だけど? まだあるの?」
「はい。下着のことで傷つけてしまって、それでご調教されるうちに、心から反省して、厳しくて女らしい女王様の紀代美様がますます好きになっていき」

「ふっ・・ふふふ、何よそれ・・バッカみたい」
 腰を退き、突きあげて突きあげて・・。
 おおぅぅ!・・と獣の咆吼。

 そんな・・射精しながら失神してノビてしまった・・。
 館脇さんに抱かれていて、心のアクメに打ち震えて気を失った私のように・・。

 私はまだ子供が産める。でも・・求める精液は誰のもの?

「神様に委せよう」・・そう言った彼の言葉が女体の奥で聞こえていました。


「はい、いくつ! 数えなさいって言ったでしょう!」
「はいぃ! 百七十・・わかりません・・えーんえーん・・えぇーん、愛してます女王様ぁ! もっとください、鞭を・・頑張りますからぁ! 一緒に生きていきたいんですぅ! 見捨てられたら死にますぅ!」

 一本鞭の血腫れで体中がボロボロです。だけど、そこまで言われて動かない女心はありません。

 鞭が・・力の抜けた手からすとんと落ちたわ。
 花時計の、血の色に咲く鬼薔薇が・・すがすがしい紅色の女薔薇に変化していた・・。