2017年01月04日

一幕 両替商 若妻お郁(その四)


その四


 ほんでまた十日後よ。
 まだ十七で男を知らないお豆ちゃんが、天下の大江戸変態の地
位向上のためと称し、よろず性感按摩の女揉み師の先駆けになり
てえと、ややこしいことを言い出したその日、お郁さんが訪ねて
来やがった。

「先だってのお礼かたがた、お約束の性感按摩の初回療養におう
かがいたしましたので、アハンして。ンふ」
 しなしなと色っぽい眸だったねー。
 そんでまあ地下よ。ぱっしょんれっどの腰巻き脱いで、白く熟
れた女の体を南蛮渡りの、ダブルなべっどーに投げ出して、しか
し妙に物静かな空気でよ。悲哀のこもった色っぽい顔してら。
 何かあったと思ったね。噛み締めるものがあるって面色だった
ぜ。

「ウチの人には外に女がいるのです。それもそこらじゅうに。茶
羅銭(ちゃらせん)一味に献上するはずの金からちょろまかした
金子で、スケこましていたものと思われ・・」
 そんとき俺はお郁さんの上にのっかって柔尻を揉みながら、お
しとやかな良家の婦人が何たる言いようと笑っていたさ。
「ったく、ふてえ野郎だ」
「ええそうなのです、ああ見えても、太くて硬くて気持ちヨシ」

 ぉえ?

「力もないくせに身代を継がされて勇み足が過ぎたのでしょう。
心から悔いているようで泣いて謝ってくれるのですが、スケベ癖
だけはどうにもならない。それでも私に対しては悪いと思うのか、
厠(かわや)の後の臭っせー尻まで懸命に舐めてくれ・・おかげ
で紙が大助かり。ふふふ、そんなあの人が可愛くて」

 なるほどねー、ご亭主に惚れてるのよ。女心だなぁと思って聞
いてはいたが、寂しそうな笑顔だったぜ。カミさんとしての自信
をなくしてしまってらーな。
「そうかいそうかい、まあまあ、いい感じでやってくんだな、そ
れっきゃあるめえ」
「まったくでござりまする。これ以上女房の私が暴れたらお義母
さまが参ってしまう。義母はそれはそれはいい人ですが、そろそ
ろもうボロクソ婆ぁでございまして」

 言葉がよ、お上品とお下劣を行ったり来たり。すべて作家がヘ
ボだから。

 俺は言ったぜ。
「さて、そろそろ性戯たいむということなんだが、じつは、かく
かくまるまるで、お豆坊がよ」
「あらまー、お豆ちゃんが性戯の味方に?」
 そばにいて「ンふ」と可愛く笑う、みにすか小袖。
 素っ裸のお郁さんを南蛮渡りの、どくたー椅子に座らせて、両
足それぞれチョウチョウ結び。

「なにやら嫌ぁぁな予感がいたしまするが、これいかに?」

 すると、お豆ちゃんが椅子の横の丸い取っ手をくーるくると回
すわけだ。両足が歯車比の力学で左右に開いていくんだな。
「きゃぁそんなぁーっ! 嫌ぁぁ! 嫌ぁぁん!」
 とか言って顔を覆いながらも、自ら開いてぱっくりお股。よく
濡れた黒毛肉貝、観音様がお姿を露わにされて、合掌しちゃうぜ
まったくよ。

 ところがだ、ふんっ。みにすか小袖がいきなり南蛮渡りの、極
太ばいぶぅを持ち出しやがった。やっぱり小娘、なんもわかっち
ゃいねえようーだぜ。
「そうじゃねえ、こうするのよ」
 濡れ貝に鼻先を近づけてクンクンクン。あー、匂う。
「嫌ぁん、そんなところを嗅ではダメダメ、私は臭い女です」
「とんでもねえや、甘ぁぁい女の匂いだぜ」

 それで俺はホッペをスリスリ濡れる貝にほおずりし、薄皮にく
るまれたおサネちゃん(栗とリス)に、ちゅっちゅのちゅー!
「ああン、そんな、おやさしい。気持ちいいです、逝ってまうぅ」
「いい女だぜ、お郁よ」
「あらぁ呼び捨て嬉しやランランラン。ほんとに? ほんとに私
はいい女?」
「こうして舐めてやりたくなるほどいい女さ、胸を張って生きて
くがいいぜ。溜まったときにゃここへ来い」

 閉じ合わさった花びらを舌先で掻き分けて、肉の穴をほじるよ
うに舐めてやる。ンふンふンふと甘ぁい吐息が漏れ出して、わな
わな震えて達してく、若き人妻。涙がつーっと伝っていたね。

「お豆坊、よろず按摩ってぇのはな、心を揉んでほぐしてやるこ
と。嬉しくて濡らし、喜びに舞い上がる。それでこそ女は幸せな
のさ」
「いよっ、逝かせ屋アハン!」
「おおぅ!」

 SE(効果音) 鼓の音 ポンポンポンポン、ポォーン!

 柳生新陰流、免許紛失。性戯の味方、伊香瀬安範。
 逝かせ屋アハンの第一幕、これにて終了。
 いずれ次回、さらなる変態、徐々にまじめに書いてイク?

一幕 両替商 若妻お郁(その三)


その三


 ワルの親玉、勘定奉行、茶羅銭貯男(ちゃらせんためお)とそ
の手下どもは懲らしめた。しかしなすべきことはまだあった。
 可哀想なお郁のバカ亭主を絞め上げてやらねばならぬ。千両に
つき百両のニセ金を混ぜたってぇことは、その分の本物小判が消
えたってぇことになる。行く先はもちろん茶羅銭だろうが全部が
全部じゃあるめいよ。お郁の亭主がちょろまかした分がきっとあ
らぁな。悪事で稼いだものは吐き出させて灸をすえる。
 でなきゃぁ身をもって亭主に尽くしたお郁が浮かばれねえや。

 だがしかし、ここに一つの問題がある。あんとき大川の橋のた
もとへ、カラコロカラコロカラコロカラコロカラコロカラコロと
女下駄を鳴らしてよ・・ええい、ちょっと待て。

 だあぁ、もうーっ! だらだら書くなっ、ヘボ作家!
 なんだと岡崎潤? ・・知らねえな。

 で何だっけ? あ、そうそう、あんときのお婆はきっとお郁の
姑に違いねえ。嫁の身投げを聞いてすっ飛んできやがった。そん
なお婆のいる家へ踏み込んで抜刀するのはいかがなものか。おど
ろ木ももの木、心臓マヒでぽっくりよ。
 そこでオイラは女房のお郁に知恵を授けた。亭主を長屋に連れ
て来い。俺んちの地下ってぇのは早ぇえ話が、えすえむるーむよ。
 お郁さんもお豆ちゃんも、それいいかもってメチャ興奮。お豆
ちゃんたら、もともとSっぽいおなごゆえ、腕が鳴るなり乗馬鞭。
 んで、のこのこやってきやがった。こんときはまだ、あの茶羅
銭が成敗されたなどとは思っちゃいねえ。虎の威を借るちんちく
りんのクセしやがって、態度のデカいことったらありゃしねえ。

「あー、もし。浅草の両替商、銀行屋(ぎんゆきや)にございま
すが、御用とか?」
「おう、入れや」
「はいはい、されどちと忙しい身ゆえ手短にお願いいたしやす」
 穴の開いた障子戸がガタピシなかなか動かねえ。入った亭主は
中を見渡し、ふふんと鼻で笑いやがった。そんとき中には、俺と、
みにすか小袖のお豆ちゃん。お豆ちゃんは素知らぬ顔をしていた
が、嘘のつけないお郁さんは、亭主の後ろでいまにも吹き出しそ
うだった。

「あのな、ちと地下を見てもらいてえのさ」
「地下でございますか? そのようなところがこのボロクソ長屋
に・・あ、いやいや、古いものを大切になされるお宅にござりま
しょうやら?」
「ちぇっ。いいから見てくれ。じつはな、ここはもともと忍び屋
敷だったんだがよ。地下を片付けてたら千両箱が出てきやがった」
「ええー! あーあーあー、そうでございますか、はーはーはー、
そういうことなら銀行屋は目がルンルン。おどろ木ももの木さん
しょの粉でウナギが美味い? うははは」
「何言ってやんでい、落語タレてんじゃねぇや」
 コロッと態度が変わりやがる。

 押入れ下のドンデン返しから、お豆ちゃんが先に降り、亭主に
お郁、最後に俺だ。俺は刀を手にしていた。
「おい銀行屋、てめえの悪だくみで女房が身投げしたんだぜ、わ
かってんだろうな! 茶羅銭一味はゆんべ俺が斬り捨てた。性戯
の味方、伊香瀬安範とは俺のことよ!」
「いよっ、逝かせ屋!」
「おおぅ!」
 あのなお豆ちゃん、安物歌舞伎じゃねえんだからよ・・とは思
ったが、次の一瞬、電光石火よ!

 柳生新陰流、免許再交付の俺の刃が、帯を断ち着物を断ち、褌
までを布切れにしちまって、亭主なんぞは丸裸。お豆ちゃんと女
房のお郁は着物姿よ、南蛮渡りの、しーえふえぬえむ?
 力づくで押さえられ、丸太の泣き柱を抱かされて縛られたのさ。
お豆ちゃんたら、ぶいさいんで決めのぽーず。
「よっ、クリちゃん!」
 パッコーンと、南蛮渡りの、すりっぱイッパツ、頭くらくら。
「その言い方やめいっ! あたしはお豆ちゃんです! 栗とリス
ではありませぬ!」

 あのな、ヘボ作家、なんだかなー・・作家やめたら?

「さあお郁さん、しこたま仕置だよ、心底懲りるまでねっ!」
 お豆ちゃんが南蛮渡りの、乗馬鞭をお郁さんに握らせた。そし
たらそのとたん、あれほどおしとやかだった女房殿が豹変したぜ。

「あんたのせいであたしゃ裸でマワされたのよ、くるくると。口
惜しくて悲しくて気持ちよくて、身投げしたのよ! 泣いちゃう
から。わかっとんのかワレぃコラぁ! しばき倒すぞ、アホンダ
ラー!」

 ぉえ?
 俺とお豆ちゃんが抱き合っちゃった。女は怖いわ、うん怖い。

「尻出せ、尻ぃ! いざ覚悟ぉーっ!」
 ビッシィィーッ!
「ギャィィーン!」
 手加減なしだぜ。マジ激怒。しかもだよ乗馬鞭じゃ飽きたらず、
南蛮渡りの、一本鞭に持ち替えやがった。
「もっと欲しいか! 嫌ならちょろまかした金よこしな!」
 ピッシィィーッ!
「キャィィィーン!」
「あっはっは、これは楽しか、おもしろか! あっはっは!」

 そんでまあ百打はこえたね。亭主ボロ布。
 しかし気持ちはよっくわかる。お郁の手から一本鞭を受け取っ
て、俺はお豆ちゃんにニヤリと笑った。
「尻に『お郁命』と焼き印でもしてやんな。そうすりゃ二度とし
ねえだろうぜ」
「わーん、ごめんよごめんよ、わーんわーんわーんわーんわーん
わーんわーんわーんわーん」

 ダラダラ泣かせるな! いっぺん斬るぞ、ヘボ作家。

 そんな言葉も脅しの一つ。そこまでやっちゃぁおしめえよ。
「お郁、そこに立って尻めくれ。尻の穴でも舐めさせてやるんだ
な」
 お郁さん、両手で壁ドン。着物をまくって可愛い尻を出しやが
る。亭主もまた可愛いもんで、泣きながら女房の尻に顔を突っ込
み舐めてやがった。お郁も亭主が可愛いのさ。尻の穴まで舐めて
くれる奴隷亭主を見下ろして、やさしい顔に戻っていたね。
 お豆ちゃんが、ちょんまげつかんでお郁さんの尻の奥へと頭を
押して遊んでやがる。女上位のなんとも穏やかな虐待だ。
「おい亭主、身に沁みたなら、これから朝に夕に舐めてやりな。
心底許されるまで、みすとれすおいくおくさまと呼ぶんだぜ」
 あー、舌噛みそ。
「みすとれ・・すお・・いくいく? はー?」
「いいんだいいんだ、南蛮渡りの方言を無理からひらがなにする
からわかりにくいのさ。ほんとにてめえはヘボ作家」 

 ンま、一件落着。二人仲良く帰って行ったぜ。うんうん。