2016年12月05日

FEMDOM 花時計(十六話)


十六話


 お部屋の明かりはスモールランプ。私はここのところ部屋着にしているかぶりのミニ、下はノーパン。そんな姿でソファに横に寝て寝そべって、首輪だけをさせた女の下着姿の男奴隷を床にはべらせ、内腿の奥に顔を挟みつけるようにして、チロチロとアソコを舐めさせている。
 傍目にはまったく異常で変態的な光景なのでしょうが、そんな異常が日常になろうとしていると感じるわ。

 私はもう考えないことにした。逃げるチャンスは与えたつもり。
 これからは、ひたすら私の性癖を満たすために飼っているマゾ奴隷。それでいいと思っています。
 音を消してしまったテレビが、わけのわからない番組をやってる。見る気もしない。時折視線を流すだけで意味のないことであっても、映像のチラつきが、ランジェリー男子の裸身を艶めかしく見せてくれ、それもまたセックスの視覚のエフェクトなんだと可笑しくなるの。
「もういいわ、アソコ見つめて楽しんでなさい」
 柔らかな内腿に顔を挟んだままアソコから鼻先を退いて、泣きべそは、女の股ぐらを枕に私をじっと見つめているのです。

 濡れるアソコに熱い息を感じながら、館脇さんのことを考えていた。彼は分別ある五十八歳の紳士。その人がかつてマゾだった。奥様が女王様。だけど彼の体には傷らしきものは残っていない。
 いったいいつ頃までSMがあったのか? それはどんな調教だったのか? 彼は心のMだと言い、奥様は心のSだと言う。だけど、それ以上を話してくれない。彼の奥底に大切にしまわれた愛の記憶なのだと思うのです。
 そしてその館脇さんを、私はごく普通の男性として愛している。
 愛と言うと重くなってしまうけど、愛と言うしかない。
 六十歳手前の穏やかな勃起をほおばって、射精を受けたときの悦びが口の中に残っている。もちろんラビアを分けて押し入ってくる感触も。
 私のから一切のサディズムを排除したあたりまえの女としての官能世界。それは性欲の半分かしら・・残りの半分は泣きべそに向けている。

 離婚から時間を経て、鬼薔薇は生まれたけれど、トゲのない花の私も生きていて、そのどちらもが満たされる私らしい解放の中にいる。どうやら素直な私は貪欲な牝だったようですね。
「ずっと乾いてた」
「え?」
「オナニーさえしなかった」
 内腿に耳ごと挟みつけていたから聞こえない。腿を少しゆるめてやったわ。
「寂しいアソコだったのよ・・ふふふ」
 ラビアにチュッとキスが触れ、お尻を抱かれた私です。
「貞操帯、しばらくしなくていいもんね、どうせ痛くて触れないでしょ」
 そしたら泣きべそ、お尻を抱く手に力を込めて、腰を引き寄せ、尖らせた舌先でアナルをチロチロ舐めだした。

 私をいたわる心を感じる。

 この子もいつか館脇さんのようになるのでしょうか。心にMを刻みつけ、これからの人生、女に接していく。そんなやさしい男になるのでしょうね。
 だけど私は館脇さんに対して、やさしいから好きなわけじゃない。
 男らしい強さを感じる。だから女になれている。
 私は勝手な女です。わがままな女だと思うなぁ・・。

「ねえ泣きべそ」
「はい、女王様?」
「彼ができたのよ。やさしくて素敵な人よ」
「はい。ご結婚されるのですか?」
「ふふふ、まさか。私もですけど彼だってそういう世界はもういいはずよ。二度とそこには行きたくない」
 泣きべそは、私が意図したことと違うことを考えてる。自分の存在が邪魔になるのではと思ったのでしょう。
 でも、私にしたって、そうは言ってみたものの、彼の気持ちはどうなのだろうと思ってしまう。拒否する理由が、もしも泣きべその存在になってしまえば、そのとき私はどうするだろうと・・。

「そういうことではないのよ。彼はいつだって私の中に来てくれる。熱い勃起を受け入れる女の幸せは彼で満たされちゃってるから」
「はい」
「だからね、恐ろしいことを考えたりするのよ。奴隷には快楽なんて与えない。つながれて監禁されて、射精なんてほとんどさせない奴隷暮らし。寂しくて悲しくて、泣いて泣いて生きていく」
「はい」
「毎日鞭で打たれ、針もですし火傷もだし、お尻の穴まで調教されて、漏らすみたいな射精しか許されない暮らし。心を込めて私を舐めてもセックスなど許されない。そんな人生さぞ辛いんでしょうね。勃起しても意味のない奴隷の日々よ」
「・・」
 女の性器を目の前に腿で顔を挟まれて、わずかに体が震えている気がします。泣いてるのかな・・。
「一本鞭も欲しいわね。アナルプラグとか・・苦しませるものたくさん欲しいわ。ふふふ・・体中に消えない傷が増えていって、そんな変態なんて、まともな女は愛さない。だから生涯、おまえは奴隷」
「はぃ」
 消えそうな声がします。

「さっそくはじめましょうか」
「はい・・ぅっ・・」
 やっぱり泣いてる・・どうしようもない子なんだもん。
「だけど可愛い・・ふふふ」

 このときまでは、そこまでするつもりはなかったんです。怖がらせてやりたかっただけ。それで奴隷部屋に連れていき、また手枷足枷で鞭打ち台に拘束し、傷のない綺麗なお尻を向けさせて。

 怯えて震えるヌードを見ていてムラムラと残酷が湧き立ってきたんです。私が私でなくなっていく錯覚にとらわれて・・それをいけないことだなんて思わなくなっていた。
 この子は息子。もう誰にも渡したくない・・母性の暴走が独占欲へと変化している。もうダメよ、どうしようもないのですから。

 手枷と足枷を固定し、ウエストベルトの左右の金具を支柱のフックにかけてしまうと、お尻を逃がすことができなくなる。鞭傷の消えた白いお尻が可愛くて、そっとそっと撫でてやり、何度もキスをしてやった。
「可愛いヒップね、若くて硬くてすべすべしてる。これからね、ペニスバンドでも揃えたら、このお尻を見下ろしながらアナルを犯すことになるでしょう。だから可愛いお尻でいてほしいの」
「はい、女王様」
「諦めなさい、おまえはもうダメ。たまらないの。他の女を愛するおまえを想像するとたまらないのよ。私だけの奴隷になりなさい」

 そして私は、サインペンでお尻の左右にマンガみたいなおメメを描いた。縦長の楕円の中に丸い眸があるような・・。
 これから何をしようとするのか、考えるだけで胸が冷えたわ。この子にはもう普通の人生がなくなってしまう。サインペンで描いたおメメにゾクゾクしたし、お線香を持つ手が震えた。
「お尻におメメの絵柄を描きましょうね。可愛いお尻になってくれたら、もっと可愛がってあげられるから」
 お線香に火をつけて、ふぅぅと吹くと、火種が真っ赤に燃え立ちます。火種で点描のように絵を描いていくんです。

「諦めなさい」

 また同じことを言っている。それも抑揚のない声で・・。

「最後に訊くわ。痛いことされるの好き?」

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