2016年12月11日

自虐~ふたつの心を持つ女(四話)


四話


 狂っていると自分でも感じます。けれどそれをしないと一日縄で刺激
された濡れる性器が満足しない。
 お店をやっていると当然のこととしてその日の売り上げを帳簿につけ
るわけですが、いまごろ帳簿でもなくパソコンに向かって打ち込んで
いく。飲食店用の経理ソフトを使っていて、売り上げと仕入れを打ち
込むと利益を勝手に算出してくれるんです。

 お部屋に戻った私にご主人様は脱げとおっしゃる。マンションの玄関
先で素っ裸。そのときようやく股縄が許されますが、二重になった麻縄
が搾れるほどべっちょりしている。
 いやらしすぎる濃い陰毛。縄につぶされた毛を手ぐしで梳いてやって
ふんわりさせて、さっそくデスクにつくのですが、そのときちょっと
お酒を用意。ちびりと含み、グラスを置いて、それから木の丸椅子を
見つめます。

 座面の丸い木の椅子に赤いゴムのペニスが上を向いて勃っている。
蒸しタオルで拭くぐらいで、その椅子は常に私を欲しがって勃起させて
いるんです。縄を脱いでも私はヌラヌラ。ローションなんていりません。
がに股にお尻を開き、丸い先端を閉じた性器にあてがって、腰を回して
ラビアを開き、ヌムリヌムリと突き刺していく。
「はぁ! あーっ!」
 おなかの力を抜いて根元まで突き立てて椅子に座る。でもそれだけ。
腰を浮き沈みさせる素敵な性戯はやってきません。アクメが禁じられて
いるからです。
 背筋に寒気のような性感がざわめいて、腰が痺れるような快楽がある
にもかかわらず、それ以上は許されない。苦しさをごまかすためにお酒
をまたちょっと口にする。

 Cサイズの乳房にまで鳥肌が立っていて、乳首なんて乳輪をすぼめて
カチカチに尖っている。ご主人様は、そんないやらしい淫婦の乳首を
許されません。
 デスクの天板はツルツルの白い化粧板で、デスクトップパソコンの
モニタの左右の下あたりに吸盤がつけてあり、その左右の吸盤には小さ
なフックがついていて、輪ゴムをつないだ吊りゴムがつけてある。
 ブリキでできた洗濯バサミ。カチカチにとんがる乳首をつぶしていき
ます。
「痛ぃ・・ぁぁ痛い・・」
 可哀想な左右の乳首。キリキリとバネが軋んで乳首がぺしゃんこに
つぶれていく。モニタの下の左右にある吊りゴムを伸ばして乳首の洗濯
バサミに引っかけると、乳首が伸ばされ、乳房全体が三角錐に吊られま
す。

 痛みにお尻を締めると突き立ったゴムの男性が恐ろしい感覚を呼び起
こす。もしもちょっとでも腰を動かせばイッてしまう。震える吐息に
くらくらしながら、お店の伝票を一枚ずつひろげては打ち込んでいく。
 お店が暇だった日ならともかく今日はちょっと忙しかった。その分、
動き回ってアソコは刺激されていましたし、責めが苦しくてたまらない。
 いまにもイキそう!

 妄想します。こんな私は見られている。粗野なケダモノたちでなく、
知的な男性に囲まれて喘ぎながら事務をする。嘲笑されて、その屈辱に
濡らしながら、私は見つめられているのです。
 私だって女よ。リアルなご主人様に鞭打たれてよがる奴隷を思い描く。
 でも、そこへいけるまでのプロセスが嫌。この人はどんな人なんだろ
う? 怖すぎない? 悪い人じゃないかしら? 一生おそばにおいて
くれるお方かな? それは結局男女の探り合いでしかないもので。

 伝票整理が終わるまでは許されない快楽と苦痛がないまぜになった
嬉しいひととき。仕事が済んで乳首の責めがようやく許され、ディルド
を抜いて解放されるときがきて、それでも私にはつきまとう主がいる。
 たとえばトイレ。お部屋の中に蓋のあるプラのバケツが置いてあり、
日々そこでトイレ。一日分をまとめて処理してバケツを洗う。
 臭い・・汚い・・ああ私は獣なんだと思い知る。
 最後にやっとお風呂が許され、汗も愛液も、アナルの臭気もそこで
消える。そのころにはぐったりしていて眠るのですが、夢の中までご
主人様は追いかけてくるんです。

 お店をやろうと思ったことも、あるいは、もしかして・・という切望
の末なのか。信じていける男性に出会えないか。そんな想いがあったの
かも知れませんが、一年やって、そんなお方は皆無です。

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