2016年12月15日

自虐~ふたつの心を持つ女(八話)


八話


 言ってからしまったと思うことのよくある私。安易に感情を移入し
て、後になって冷静になってみるとちょっと怖い。
 私は玲子の、彼女は私の、私生活を一切知らない。互いにお部屋を
訪ね合う仲になればわかることも、いまは信じるしかありません。
動画にされていた自虐の姿も顔まではわからず彼女でないかも知れな
い。悪い方へと考え出すと臆病な私は何もできなくなっていく。
 同じ街に暮らす彼女。もしも裏表のある人だったらどうしよう。

 いいえ、それよりむしろ彼女にのめり込んでいきそうで怖かった。
彼女は王様と言うし私はご主人様と言う。レズではないだろうと思う
のですが、それだって変態的な性に耽溺すればSMチックな愛へと発
展するかも知れない。自虐の歓びは内なる自分の声に服従すること。
 無条件に信じていられる誰かなんて自分の中にしかないものです。

『裏切ってはいけないよ。裏切られて泣く方がおまえらしい』

 そんなご主人様の声がなければ踏み出せなかったと思うのです。
 ブログぐらい私だって若い頃に日記のブログをやっていた。でも
動画をどうアップすればいいのか? そこまでしなくても画像だけで
いいと思ったし、とにかくブログづくりをはじめます。独りきりの
お部屋にいて、もちろんディルドに貫かれる甘美に耐えて・・乳首を
責める痛みに酔って・・。
 いろいろ考え、姿見をフローリングの床に立てて、乳房から下あた
りを狙って写真を撮りながら・・。

 彼女のブログは『私はSよ、私はMよ』
 タイトルをどうしよう。『私自身の調教日記』・・ダサくない?

 でももうたまりません。突き立つディルドと痛すぎる乳首に感じて
しまってクラクラしちゃう。タイトルなんて何でもいいや。丸椅子の
座面が愛液でヌラヌラしている。

『クラクラしてるヌラヌラしてる』・・なんて、いいかも?

 今日のところは写真を数枚あげておき、短いリード文を書いておし
まい。プライベートモードにセットして、乳首の責めとイキそうでイ
ケないディルドの夢から逃れます。

 おまえが死ぬとき俺も逝く。
 そうまで言われて、私は私に逆らえない。
 それがトップの二行です。

 シャワーを浴びて、それでも疼く裸身を、ふたたびディルドが責め
立てます。パソコンに向かうときの逃れられない調教ですから。
 彼女のブログへ行ってみるとパスワードを要求される。スマホのメ
アドは教えてあって、パスワードが送られてきています。もちろんこ
ちらのパスワードも送ってあった。

 ブログを開いて、トップに写真が一枚あって・・全裸の玲子が平伏
して顔まで消さずに載っている。
 よくやるよ・・私が悪女ならどうするつもり?
 それに・・私と一緒で陰毛が処理されてる!
 Cカップほどの乳房が綺麗・・。

 どうかよろしくお願いします。
 孤独の殻にヒビがはしった想いです。

 同じ女として涙が出ます。揺らぐ玲子を見つめていて、ふと記事の
下を見る。そこにはなかったコメントボタンがつけられている。私の
ブログにはつけてなかった。慌てて私は自分のブログにボタンをつけ
て、同じように土下座をする私を撮ってアップした。
 怖い。顔を出してしまったわ。私もデルタに毛がありません。
 ああ私は奈落の底へと転がり落ちる!

 目撃者が現れた気分だわ。
 こちらこそです。嬉しくて嬉しくて。

 リアルで見せ合う・・リアルで責め合う・・そうなるのは時間の問
題だと思っていました。だって、ご主人様がそうせよとおっしゃるか
ら・・イキたくてもイケないままベッドで悶々としています。

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