2016年12月16日

自虐~ふたつの心を持つ女(十二話)


十二話


 お部屋に帰り着いたのは二時間ほどしてからでした。玲子はこの
ままおいでとお部屋に誘ってくれたのでしたが、一度戻って出直し
て来ると言って、少しの間でも独りになって私のご主人様とお話し
したかった。でも帰る道々、私はアクメの余韻にグダグダになって
いて、お部屋に戻っても体の疼きがとめられない。
 錯乱する意識の中で女王様と叫んでしまったことだけは、まるで
一条の鞭打ちのように、そこのところだけくっきりした記憶となっ
て残っている。

 とにかくシャワー。体中から性の臭気を発散しているようでたま
りません。爪先から髪まで洗って、最後に体に冷水を浴びて出てき
たわ。プールで遊んだ後のように気怠くて、ぼーっとしている。
 それでも日課としているディルドの責めからは逃れられず、丸椅
子に勃起する感情のないペニスを舐めて、またがって、狙いすませ
て貫いていったのでした。
 それだけではイッてしまう。もちろん乳首にもゴム吊りの調教を
施して、痛みに呻きながらパソコンを立ち上げます。起動するまで
がもどかしい。もしちょっとでも腰を動かせば失禁してしまいそう
なぐらい、ほんと極限まで性感が高ぶっている。

 飛びつくように玲子のブログへ行ってみる。私にとって彼女はい
ったい何者なのか。まともな判断がつかなくなってしまっている。
 だけどパスワードを入れてブログが開くと、胸が締め付けられる
思いがしたわ。新しい動画があがっています。
 手に持ったビデオカメラで玲子自身の体をくまなく映しているん
です。
「夕子さん、心よりありがとう。どうか私を見てください」
 顔が映って声が入って、カメラは下へ流れていく。綺麗な乳房、
尖ってしまった二つの乳首・・そしてそのとき。
「可哀想なおっぱい・・可哀想な乳首・・乳房を責められるのが好
きなんです」

 レンズが流れて陰毛のないデルタへ降りて、玲子は脚を開いてカ
メラを真下に持っていく。閉じたラビアは肉厚で外陰唇からはみだ
して、すでに濡れて光っています。
 さらに腰を落としてがに股になると、つつましやかなアナルまで
がくっきり映る。
「醜いでしょう・・いやらしいでしょう・・でもこれも私なの。夕
子さんが好きです。王様の隣りにいてほしい女王様になりつつあり
ます」

 それで一瞬ブラックアウト。アングルが変わるんですね。そした
ら玲子は四つん這いになっていて、ついさっき私がしたのと同じポ
ーズ。アナルが空に向くほどお尻を上げて、飾り毛の一切ない淫ら
な性器が大映し・・麗子の手がお尻に回ってこれでもかと性器を咲
かせ、ピンクの内臓までが映っている。
「女王様と呼ばせてください。夕子さんに壊して欲しい。王様もぬ
くもりのある責めを許してくれているんです。寂しいの。狂ってし
まいそうなぐらい孤独です。鞭もあります。縄もバイブも」

 やっぱりそう・・私そのもの。分身のような玲子。
 私は涙を流して映像を見ていたわ。あの子に何があったのか。ど
んな過去がそうさせるのか。それともトラウマなどとは無関係に、
どうしようもないマゾなのか。
 ハッとしました。動画のアップは早朝です。それをアップしてお
いて、ついさっき私の女王様になってくれた。

「行っていいでしょ? いますぐ出る」
「はい!」
 ご主人様の意思ではない。私が決めて、私は動いた。
 いても立ってもいられません。パソコンを消して乳首の責めをは
ずしてやって、ディルドを抜き去り、今度は真っ赤な股縄パンティ
を穿き込んで、ブラだけはしてあげて、明日そのままお店に出ても
いいように身支度を整えて、お部屋を飛び出していたんです。
 私のほうからお店までは五分ほど。さらにその先十分ほどで玲子
のマンション。場所は聞いて知っていたし、訊くも何も、駅そばの
よく行くドラッグストアの向かいです。

 気づけば小走りになっている。ほとんどもう錯乱している。
 こんな近くにもう一人の私がいた。そう思うと、この町に似たよ
うな女たちがたくさんいると思えてきたわ。
 エントランスに飛び込んで、そのときちょうど最上階で停まって
いたエレベーターがもどかしく、飛び乗って、702号。
 ノックすると待ってましたとドアが開けられ、玲子は素っ裸で平
伏していたんです。
「見たわ動画」
「はい」
「約束なさい」
「はい?」
 靴を蹴って脱ぐようにお部屋に上がった私は、全裸の玲子を白い
壁際に追い詰めて、陰毛のないデルタの底に指を突っ込み、無造作
に貫きながら言ってやった。

「捨てないでね」
「はい!」
「ほんと! 心から言えるのね!」
「はい!」
 玲子の熱い膣を掻き回してやりながら、むしゃぶりついて唇を求
めた私。玲子の綺麗な裸身がわなわな震えて、すがりついてくるん
です。
 可愛いわ。もう一人の私は、なんて可愛い女なの。
「毎日お店に来なさい!」
「はい!」
「毎日どっちかのお部屋で眠ること!」
「はい! 嬉しい、誓います女王様」

 私も玲子も泣いてしまって抱き合っていたんです。私のご主人様
と玲子の王様が消えてしまった瞬間でした。

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