2017年01月13日

氷川冷子(四話)


四 話


 豊かな森につつまれた開放の中、一度は靴べらを振り上げた
私でしたが、木につないだリードを解いて家の中へと這わせま
す。お尻が赤くなっていて、股の間から小さな睾丸が皮をのば
してぶらぶら揺れて覗いてる。ルイーザという魔女にすべてを
捧げた者の哀れを感じる姿だわ。
 
 家に入り、また天井から両手で吊す。つま先までまっすぐ伸び
た白いヌードは、ペニスを紫色にすくみあがらせ、お尻が少し
赤いというだけで、いまはまだ綺麗な体。このとき私は、少しず
つ私の印を刻んでいこうと考えたんだわ。
 私も脱いだ。奴隷の心を受け止めるとき、服を着ていてはつま
らないと思ったからよ。上下白のランジェリー。タカは目を輝か
せて見ています。さすがにペニスは反応しない。徹底的に心を
牛耳ってやり、二度ともう勃起しない体にしてやる・・可哀相なこ
とを考えて、けれども笑みがこぼれてしょうがなかった。

 靴べらは長さ五十センチほど。握りがあって、丸いプラのパイ
プの先がアヒルのクチバシ。赤くなった小さなお尻のすぐ下の
腿の裏をペシリと叩く。
「いい声を聞かせなさいね」
 パッシーッ!
「きゃぅぅーっ!」
「そうそう、女みたいなイキ声だわ。覚悟なさい!」
 パッシーッ! パッシーッ! パッシーッ!
 透き通ったスパンク音が邸内にぴーんと響く。
 腿の裏、腿の裏・・お尻、お尻・・フルスイングで打ち据えます。
 肉奴隷は吊られた裸身をよじりもがき、脚をばたばたさせて暴
れたわ。
「気持ちいいでしょ! 徹底的に打ち据えてやる! これしか信
じるものがないんでしょ! たっぷりあげるわ!」
「はいルイーザ様ぁ! ああ痛いぃぃ! 痛いぃぃ!」
 お尻も腿も、クチバシの痕が重なり合って、しだいに血が浮い
てくる。三十・・四十・・五十・・もういくつだかわからない。皮下
の紫色のところどころが破れ、血が滲み出してくるのです。

 尻を撫でた。手が血で赤くなる。鉄臭いいい血だわ。
 前に回って顔を覗くと、だらだらの泣き顔でしたが、陶酔するよ
うにとろんと溶けた目をしてた。
「感じてるみたいね? 気持ちいいの?」
「・・はい・・ありがとうございます」
「惨めな男よ、おまえはほんと、ダメ人間。何があったか知らない
けれど、おまえは敗者よ、負けたのよ、だらしない・・」
「はい・・ぅぅぅ、弱いからぁ・・」
「ふざけるな馬鹿! もう許さない! 拷問だわ!」
 靴べらの先を睾丸にペシペシ当てて、狙いを定めて下からベ
シッと打ち据える。
 ぎゃぉぉーっ! 喉が潰れるほどの叫び。
「ほら脚! 開きなさい!」
「はいぃ!」
 ベシッ!
「ぐわぁぁーっ! ぎゃぅぅーっ!」
 紫色に縮こまった小さなペニスの先から、白いものが垂れてく
る。
「あ、信じられない、精液まで漏らしてる・・この変態! あはは
は!」
「はい・・痛い・・痛いぃぃ・・」
「泣き言言うなら奴隷部屋よ! 閉じ込めるわよ! それでもい
いの!」
「嫌ぁぁ! それだけは嫌ぁぁ! もっと打ってぇ、あぅぅぅ・・」

 涙が出ます。吊られた体が涙に揺れて映っている。
 失望の人生を送ってきた者にとって信じられるものは多くはな
いわ。このタカには慈悲は無用。痛みを与えられること以外、私
の本気を示すことができないの。

 小さな乳首を横振りに叩き払ったとき、胸に一筋の引っ掻き傷
ができてしまう。靴べらの先が割れてしまった。いつの間にそう
なったのかもわかりません。お尻も腿も鞭腫れでぼこぼこで、肌
のところどころから血が流れ出している。
 靴べらをゴミ箱に放り込む。プラだから可燃ゴミね。主婦の感
覚が染みついてしまってる。
 あの頃は私がこうだった。SMなんてなかったけれど、二十年
もの間、奴隷部屋に閉じ込められていたようだった。

 まだまだよタカ・・血の涙を流すまで許しませんから・・女王の
想いを受け止めなさい。

 私は針を手にしたわ。手縫い針。普通の針よりずっと太くて長
いもの。奴隷の乳首をつまみ上げ、力任せにコネて引っ張り、
針先を横にあてて、顔を見た。眉を上げて冷たく笑ってやったの
よ。
「欲しいわね? 嫌だなんて言わないわね?」
 泣いた目でこくりとうなずく奴隷です。
「ぐわぁぁーっ! ぐわぁぁーっ!」
 左に貫通。そのときは獣の悲鳴。だけど次に右に刺し・・。
「ぎゃぅ!・・むぅぅ・・あぁぁん・・あぁぁん・・」
 よがり声に変わってきて、さらにこのド変態、痛みにお尻を締
めたときにまたしても精液を垂らすのです。
「よっぽど溜まってたのね、あははは! イケて気持ちいいでしょ
う」
 ツルツルの頭に手を置いて顔を上げさせ、可哀相な眸を見ま
す。まあるい眸が涙の海に溺れていたわ。

 乳首の針を抜いてやる。太い針に貫かれた乳首は、針の穴も
もちろんですけど、お乳を出すみたいに先からも血が滲み出し
て球をつくる。
 ブラを外し、パンティも脱いでやり、吊られた奴隷に寄り添って
抱いてやる。
 痛みのせいか、恐怖なのか・・悦びなのか・・タカの体が細か
く痙攣しているの。限界だったわ。脳の悲鳴が体を震わせている
と思った。
「よく頑張ったわね、可哀相可哀相、いい子だったよ」
「はいルイーザ様・・お綺麗です・・抱いてくださってありがとうご
ざいますぅ・・あぅぅぅ」
 もがくような・・心が吐き出すような泣き声でしたね。

 吊りを許すと肉奴隷はへたり込む。私は発育がよくなかったら
しく、陰毛が揃ったのもずいぶん後になってからでした。体毛の
色が薄く、翳りの中にクレバスが透けている。氷川はそれを喜
んで、鼻先を突っ込んでは舐めていた。性器舐めの大好きな
好色ジジイ。私はその餌食だった。
 へたり込んで両手をついて、お座りする犬みたいなポーズの
タカに踏み込んで、デルタの底を鼻先に突きつけてやりました。
「よくごらん、これが私よ。鼻先を突っ込んで私の匂いを覚えな
さい」
 そしたらタカ、泣き濡れた目を拭い、陰毛の奥底をじっと見て、
それから目を閉じ、股ぐらに鼻先を差し込んでくるのです。
「舐めちゃだめよ、匂いを吸って覚えるだけ」
 ツルツルの頭でこくりとうなずき、クレバスの谷口に鼻を触れ、
すーすー息を吸うのです。
「ちゃんとお尻を抱きなさい。私の本気を感じなさい」
「はいルイーザ様・・嬉しいです」
「おまえはどうなの? 私に本気?」
「はい! ああルイーザ様ぁぁ」
 濁った声・・押し潰したような呻き・・身悶えして感激している。
 お尻を抱く手もふわりとやさしく、陵辱の男手ではありません。
 股ぐらを奴隷の熱い息がくすぐって、全身ゾクゾク震えてしまう。

「どう濡れてる? 私は濡れてる?」
 こくりとうなずく。
「ヌラヌラ?」
「はい」
「おまえに感じているからよ、わかるでしょう」
「はいぃ! あぅぅぅ・・嬉しいですぅ!」
 私は泣いてた。タカの心に私は濡れた。愛液が腿に伝う冷え
さえ感じた。
 デルタから奴隷を突き放し、額を小突いてやって後ろにぶっ倒
してやりました。
 顔にまたがり、腰を降ろして、濡れのすべてを見せてやる。
「よくごらん、いやらしいでしょ、べちょべちょだわ、お尻の穴まで
濡れがまわってぐちゃぐちゃよ。おまえが私をこうしたの。奴隷ご
ときにとは思うけど、でもこうして感じているの。わかるわね?」
「はい・・ルイーザ様・・ああ女王様、お慕いいたします」
「ほんとなの! 命がけで言ってる言葉!」
「はい、お体から出るものも・・」
「え・・」
「いただきます・・飲みます・・食べますから・・」

「ふんっ・・いいわ、飲ませてあげるし食べさせてあげるわよ。そ
こまで言って嘘だったら殺すから。男の言葉として受け取るわ、
それでもいいのね?」
「はいお誓いします」

  冷子の中で心が崩れた瞬間だった。剃り上げた奴隷の頭を
  抱え込み、これ以上ない欲情にぐちゃぐちゃに濡らすアソコ
  めがけて奴隷の顔を引きつけていく。舐めなさい、もっと舐め
  なさい・・黒い欲情の証を舐めて飲み込みなさい・・愛したり
  はしないわよ、でも捨てたりもしないから。
  冷子はあられもない声を撒き散らして達し狂った。奴隷の顔
  にアクメの潮をぶちまけて、奴隷はそれをガブガブ飲んで。
  愛してる・・ラブラブよ・・それが花畑の愛だとすれば、冷子
  のそれはイバラの中で女心を血みどろにして交わるもの。
  ふふふ、私の出番はもうないわ。魔界へ帰ろう。ルイーザは
  いなくても、私の愛し方は冷子に伝えた・・。

 錯乱していた。狂うほどの快楽に、舐めさせても舐めさせても
蜜はあふれた。
 奴隷の体にかぶさって倒れ込み、失神する寸前の陶酔を味わ
った。この二十年、一度たりとなかった心のアクメを味わった。
 意識が覚醒しだしたとき、腿に触れる硬いものを感じたわ。紫
色の気色悪いペニスががちがちに勃起して、それでも情けない
ほど小さいの・・。

 あれほど命じたのに、またペニスを勃てている。
「お仕置きするわよ、可哀相だけど奴隷部屋ね」
「はい、申し訳ございません」
 タカは自分で歩いて行ったわ。あれほど嫌だと泣き叫んでいた
場所へ歩いて行った。
 扉を閉めて鍵をかける。中は昼間でも真っ暗で、豆電球だけが
一粒の希望のように灯っている。

 でも今度は叫ばない。ドアの裏側から声がした。
「ルイーザ様」
「何よ?」
「なんだかもう怖くないです、魔物がいない気がします」
「あらそ。罰として今日はエサ抜きですからね・・」

 このとき、タカが感じていたのと同じことを私も感じていましたね。
 閉じ込めた時間を確かめようと時計を見て、なんだかしばらく
ぶりに時計を見た気がしたわ。

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