2016年11月11日

妻の性 シーン5

石田恵利

 単身赴任で会社が用意してくれたのはワンルームのマンスリー
マンション。三つになる娘がいましたが実家が近くて母もいて
くれましたから、娘が三つになると同時に私は復職。その直後、
夫にではなく私に向こう一年の単身赴任が言い渡された。
独身の頃は実家住まいで、考えてみたらはじめての独り暮らし。
家から切り離されてせいせいした気分です。
 マンスリーマンションはだいたいが仕事の都合で一定期間借りる
もの。一階は駐車場で二階から四階まで各階五戸の小さな物件。
住人は一人を除いて男ばかりで若い人も多かった。一人だけ学生
みたいな女子がいたわ。

 そこで私はハメを外し、学生の頃から妄想していた恥辱の体験を
したいと思った。
 性器の写真を撮るんです。M字にぱっくり脚を開き、クリトリスを
いじりまくってトロトロに濡れた私のアソコ。性器だけのどアップです。
醜いし淫らだし私でさえもまともに見ることができないもの。
 プリントし事務用の茶封筒に一枚ずつ入れて、マンションの郵便
受けに入れておく。一人だけいる女の子とジジイのポストを除いて
十枚ほどかな。仕事から戻ったときに郵便受けを確認する。上下
左右のどこをみても封筒はなくなっている。
 見ず知らずの男たちに激しく濡れるアソコを見られる。
たまらなくなって勃起させ、オナニーしてくれる子だってきっといる。
 
 それでお部屋を出入りするとき住人とバッタリ出会う。
 キュンとするのはその瞬間。ああこの人、私の性器を知っている。
よく濡れる人妻のラビア、指先で包皮を剥きあげて撮ってますから
ピンク色したクリトリスまでをも見られている。アナルもだわ。
 私の羞恥のすべてをこの人たちは知っている。
 そう思うと、独りのお部屋でパンティに手を入れてやるだけで声
が出そうなほど感じるのです。
 私だと気づかれて、脅されて逃げられなくて、どこかの部屋に連れ
込まれて奴隷のように犯される。
 考えただけで性器が壊れたようにベチョベチョです。
 猶予は一年。その間に実現したい夢があります。S様に出会うこと。
私のことを懸命に見つめてくれる人がいい。

「ああ、おはようございます。あれ?」
 その日は日曜。ランチに出ようとしたら彼がクルマを洗っていまし
た。三十代の半ば過ぎかな。イケメンとは言えませんが背の高い
颯爽とした感じです。日焼けして顔が黒いわ。
 その彼が「あれ」と言って、まじまじ見つめてくるんです。
「髪切ったでしょ」
 ドキン。切ったといっても昨夜お部屋で前髪だけをほんのわずか
揃えただけ。このとき私は右手の人差し指のマニキュアに細工を
していた。アソコを撮るとき、クリトリスを剥きあげるため指先が
ほんの少し映るのですが、その爪の先にネイルアートで使う極小の
ガラスビーズを一つだけ付けていた。写真の中の指先と同じにして
ある。
 私の些細な変化を見逃さない男性ならご主人様と呼べそうでした。

 一言二言立ち話をする間、私は右手をバッグに添えてさりげなく
指先を見せていた。彼の視線が一瞬そこで止まったわ
「郵便受けにヘンな写真が…そちらはどうかしら?」
 私から話を振ってみたんです。胸が苦しい。この人は私のアソコを
知っている。指先に気づいていそう。
「うむ…ふふふ」
 目を伏せて笑うだけで応えてくれない。ドキドキ、ハラハラ。お尻の
穴まで疼くような感覚に襲われます。
「で? これからどちらへ?」
「はい、そのへんでランチでもと思いまして」
「うんうん、おっけ、洗車おしまい。クルマでどっか行きましょうか、
マゾ牝さん…ふふふ、爪のビーズが可愛いね」

 血の気がひいて、いまにも崩れてしまいそう。

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