2016年12月02日

FEMDOM 花時計(十一話)


十一話


 そして彼のためにメロンを切ってあげ・・。
「ねえ、お名前は?」
「あー!」
 大きな声で・・。
「な、何? びっくりした」
「ごめんごめん、あははは、そう言えば言ってなかった? あははは! これだもんねー、アソコに触っておきながら! わっはっはっ!」
 明るい。サラサラした人。
 女はこういう不意打ちを仕掛けられるとのめり込んでしまうもの。

「館脇高志です。志は高く持て、の高志、五十八です」
 五十八? うそよ、いってて五十、見方によっては四十代で充分通る若さです。
「若い頃スポーツを?」
「若い頃? いえいえ、いまでも現役ですよ。最近はちょっと行けてないけど山なんです。大学でワンゲルでした」
 山男・・どうりでパワフルだと思ったわ。だけどそれなら、そんな人がどうしてマゾ?

「私は紀代美、森山紀代美」

 彼の目がきらりと光って子供っぽく眉が上がる。心が若いと感じます。
「ひとつ訊いていいかしら?」
「どぞ?」
「もしもよ・・」
「ええ?」
「もしもですけど、私が奴隷を躾るとしたら・・男の子を」
「うむ?」
「それってどういうことかしら? 監禁して虐待するみたいな感じだとしたら?」
 そしたら彼、また眉を上げて微笑んで、深くひとつ息をして、ほんと静かに言うのです。
「それはまあ一概には言えませんね。SMにもさまざまあって、単なるオモチャとして躾るのか、男として躾るのか。ブームだからS女ぶって遊んでるだけってコトもあるし、あるいは違う意味で女王様自身が自分を見つめるためなのか」

 女王自身が自分を見つめる? ドキリとしました。そうかも知れない。

「しかし、監禁してまでとなれば、その女王様は奴隷に対して本気ですよね。何かを期待して飼っているって感じになる」
「何かを期待して?」
「妻がそうでした。じつは僕、山で仲間を失って・・滑落事故です。それでおかしくなっていた僕を叩き直してくれたんですが。彼女のマンションに半ば監禁でしたよ。大学に通う以外は密室に暮らしてた。二年ほどかな」
「そんなに? 二年も?」
「ふふふ、懐かしい話です。食事からトイレ、射精までも管理され・・あるいはずっと放置され、耐えたご褒美が鞭であり。ふふふ、そんな生活でしたかね」

 私は泣きべそに何かを期待しているの?
 私は、あの子に本気なの? どういう意味の本気かしら?


 その日は結局、いつもよりも遅くなった私です。戻ったときには夜中の二時に近かった。
 奴隷部屋には、ズタズタの泣きべそを寝かせるために布団を与えていたのですが、あの子はぐったりしています。傷だらけのお尻に薬をつけてガーゼで覆い、マチの深いベージュのパンティを穿かせていた。
 ミルクを満たしたボウルも空っぽだったし、おなかぺこぺこのはずでした。タッパに詰めた手料理をそのまま置いて手づかみで食べさせます。
「美味しいでしょ。今日は暇で、お店で出すもの余っちゃった。私の手料理よ、感謝なさいね」
「はい、お母様、美味しいです、ありがとうございます」
 素直というより、ほんとに目が弱いんです。心が壊れかけている。一見して明らかでした。
「・・食べたらお尻を見せなさい」

 部屋着に着替えてから覗くと、大きなタッパにあれだけ詰めたものが空っぽになっている。少し胸を撫でたわね。だって食欲があれば力は残っているということで・・。

 お尻の傷はますますひどく、青痣がひろがってまわりが黄色くなっていて、背中にも腿にも残酷な責め痕が浮き立っていたんです。薬をつけてパンティを穿かせてしまう。
「軽々しいことを言うからよ」
「はい」
「それから、今度の土日も放置だわ。傷を治すのにちょうどいいでしょ。ふふふ、デートなの、凄い人と出会えたわ。おまえなんかにサセないけれど、私はきっと抱かれちゃう。そっちで満足しちゃうから、おまえなんて、もはや飼い殺しのサイテー奴隷よ、わかった?」
「はい」
「捧げるって、そういうことでしょ。人生を賭けるってことなんじゃないの。 だからおまえは軽々しいって言うのよ」
「はい、お母様」
 弱い目に涙が溜まって、うなだれてる。
 素直ですけど意味が違う。まるで人生を見切ったような・・小僧のくせして
生意気な。でも・・。

 可愛い。

「便器椅子! 汚れたアソコを綺麗になさい!」
「はい、お母様、頑張ります僕」

 何でなの。少しは逆らってよ。怒り出してよ。
 そうすれば放り出すことだってできるでしょうし、それはつまり解放なのよ。
 アパートを借りるぐらいのものならあげるし、それに、あの人が彼になったら邪魔なのよ。おまえの悟りきったような姿がムカムカするの。
 貞操帯はさせたまま、今夜は鞭は持たずに舐めさせて。でも手にはマチ針を持っていた。

 ああ感じる、たまらない、イキそうよ。
 だからムカつく。どうしてこんなにいいのかしら。アソコが歓喜して生き物のように蠢いているのがわかるのです。

 泣きべその乳首の先にプツっと赤い点がある。触れただけのお線香の火傷。
 それでも私は、きっとまだ痛いはずの乳首をツネリ上げて引き伸ばし、乳首の根をマチ針で貫いてやったのよ。
「ぁうう・・ぅぅん・・」
「ふふふ、感じてるみたいな声ね。次は反対!」
 それでまた貫いて・・ああひどい、可哀想。
 でも行動は相反し、針を刺した無惨な乳首の両方を足指の爪先で踏みつぶしているのです。
「ああーっ!」
 痛みに腰が暴れて貞操帯を振り回し、アソコを舐める舌がべろんべろん這い回り、透明な貞操帯が破裂しそうにペニスが大きくなりたがる。

「ふふん、マゾよね、こんなことされてイイの? つくづくサイテー。ぁぁ・・はぁぁ・・もっとよもっと、クリトリス吸いなさい!」
「はわぁい、おかわぁ様ぁ」
「はぁぁ・・ああダメ・・ダメ・・イクぅーっ!」
 どうしてでしょう、怒濤のようなアクメです。体ががたがた震えてしまって、頭が真っ白・・好きで好きで一緒になった夫でも、これほどの快楽はくれなかった。

 ぐったりした意識が戻ったとき、泣きべそは、それでもまだアナルを舐めているんです。余韻のようなアクメがずっと続く。
 便器椅子から解放してやり、正座をさせて目を見つめ、それに血の流れる乳首も見つめ・・。

「もう一度訊くわ。 捧げるの? 私を慕うの? たまらないほど大好きなの?」
「はい、お母様!」
「もう、何よそれ、わかってないじゃん! あームカつく・・」
 私から逃げてほしい。逃げ出してほしい。
 そう思いながらも、私は部屋着を脱ぐのももどかしく、全裸になって泣きべ
そを抱いていた。
「頑張ってるよね・・うん・・はい乳首吸って」
「はいぃ!」
 チュパチュパと赤ちゃんみたいに・・だけど・・。

 奴隷として躾けてる?
 男として躾けてる?
 それとも私自身を躾てる?
 館脇さんとの出会いが、それまでなかった根元的な問いを私の中にひろげていたわ。教育方針なんて、そんなものはなかったはず。だけどいま私は考えるようになっていた。

「ねえ泣きべそ」
「はい、お母様?」
「可愛いみたい。口惜しいけれど、泣きべそのこと可愛いみたい。イジメたくてたまらない」
「はい、お母様・・頑張りますから・・ありがとうございます・・大好きです・・ぅぅぅ」
 嬉しそうに泣いてくれる。
「もう・・どうしようもない子。あー、ムカつく・・」
 それで頬をパシパシ本気で叩いてやって、もっと泣かせ、なのにまた抱き締めてる。


 そして土曜日。

 午後になって家を出た私は待ち合わせの場所・・それはつまり彼の住む駅ですが、その改札に彼を見つける。スラックスとジャケットのカジュアルな姿です。なぜかすっきりした顔立ちで、男らしいショートヘヤーにシャンプーの匂いがする。
 恋人のように並んで歩き、彼のマンション。2LDKのお部屋で古い建物、その五階。
 きっと奥様とここで・・ぴーんとした空気が漂っているんです。
「二十歳の頃からずっとここです。賃貸ですが越す気にならない」
「それはつまり女王様との・・?」
「はい、もともとアイツが住んでたマンションなので」
 それほど広くないリビングに、大きな写真の額があり、にこやかに微笑む若い女性・・普通の姿でそれほど美人ではないけれど、目の澄んだりりしい人です。それにしてもお部屋が綺麗だわ。乱れがまるでありません。

 硬めのソファに浅く座り、ちょっと短かったかなと後悔するミニスカートで膝を逃がして彼の目を気にしている。

 コーヒーが用意され、ここへの途中で買ってきたシュークリーム。立ち振る舞いのすがすがしい彼でした。山で鍛えたお尻が大きく腿が張って、だけど贅肉なんてありません。
 そして彼、ロングソファの隣りに座る。微妙な隙間を空けてくれ、だからよけいにドキドキしていた。

「お部屋に女の人を入れたことは?」
「ありません、はじめてです」
「・・ごめんなさい」
「は? いいえ、なんもなんも・・はははは! あなたならウチの奴も笑ってますよ。ちゃっかり女なんて連れ込もうものならバケて出くさる女です、あははは! ウチの奴って貞子ですから」
「え? お名前が?」
「あはは! 嘘ぴょん! わはははっ!」

 どんどん惹かれていく。もう準備はできてるわ。アソコが濡れはじめているんです。泣きべそに向かって解放された私の性が、今度こそセックスを求めている・・。  

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