その四
ほんでまた十日後よ。
まだ十七で男を知らないお豆ちゃんが、天下の大江戸変態の地
位向上のためと称し、よろず性感按摩の女揉み師の先駆けになり
てえと、ややこしいことを言い出したその日、お郁さんが訪ねて
来やがった。
「先だってのお礼かたがた、お約束の性感按摩の初回療養におう
かがいたしましたので、アハンして。ンふ」
しなしなと色っぽい眸だったねー。
そんでまあ地下よ。ぱっしょんれっどの腰巻き脱いで、白く熟
れた女の体を南蛮渡りの、ダブルなべっどーに投げ出して、しか
し妙に物静かな空気でよ。悲哀のこもった色っぽい顔してら。
何かあったと思ったね。噛み締めるものがあるって面色だった
ぜ。
「ウチの人には外に女がいるのです。それもそこらじゅうに。茶
羅銭(ちゃらせん)一味に献上するはずの金からちょろまかした
金子で、スケこましていたものと思われ・・」
そんとき俺はお郁さんの上にのっかって柔尻を揉みながら、お
しとやかな良家の婦人が何たる言いようと笑っていたさ。
「ったく、ふてえ野郎だ」
「ええそうなのです、ああ見えても、太くて硬くて気持ちヨシ」
ぉえ?
「力もないくせに身代を継がされて勇み足が過ぎたのでしょう。
心から悔いているようで泣いて謝ってくれるのですが、スケベ癖
だけはどうにもならない。それでも私に対しては悪いと思うのか、
厠(かわや)の後の臭っせー尻まで懸命に舐めてくれ・・おかげ
で紙が大助かり。ふふふ、そんなあの人が可愛くて」
なるほどねー、ご亭主に惚れてるのよ。女心だなぁと思って聞
いてはいたが、寂しそうな笑顔だったぜ。カミさんとしての自信
をなくしてしまってらーな。
「そうかいそうかい、まあまあ、いい感じでやってくんだな、そ
れっきゃあるめえ」
「まったくでござりまする。これ以上女房の私が暴れたらお義母
さまが参ってしまう。義母はそれはそれはいい人ですが、そろそ
ろもうボロクソ婆ぁでございまして」
言葉がよ、お上品とお下劣を行ったり来たり。すべて作家がヘ
ボだから。
俺は言ったぜ。
「さて、そろそろ性戯たいむということなんだが、じつは、かく
かくまるまるで、お豆坊がよ」
「あらまー、お豆ちゃんが性戯の味方に?」
そばにいて「ンふ」と可愛く笑う、みにすか小袖。
素っ裸のお郁さんを南蛮渡りの、どくたー椅子に座らせて、両
足それぞれチョウチョウ結び。
「なにやら嫌ぁぁな予感がいたしまするが、これいかに?」
すると、お豆ちゃんが椅子の横の丸い取っ手をくーるくると回
すわけだ。両足が歯車比の力学で左右に開いていくんだな。
「きゃぁそんなぁーっ! 嫌ぁぁ! 嫌ぁぁん!」
とか言って顔を覆いながらも、自ら開いてぱっくりお股。よく
濡れた黒毛肉貝、観音様がお姿を露わにされて、合掌しちゃうぜ
まったくよ。
ところがだ、ふんっ。みにすか小袖がいきなり南蛮渡りの、極
太ばいぶぅを持ち出しやがった。やっぱり小娘、なんもわかっち
ゃいねえようーだぜ。
「そうじゃねえ、こうするのよ」
濡れ貝に鼻先を近づけてクンクンクン。あー、匂う。
「嫌ぁん、そんなところを嗅ではダメダメ、私は臭い女です」
「とんでもねえや、甘ぁぁい女の匂いだぜ」
それで俺はホッペをスリスリ濡れる貝にほおずりし、薄皮にく
るまれたおサネちゃん(栗とリス)に、ちゅっちゅのちゅー!
「ああン、そんな、おやさしい。気持ちいいです、逝ってまうぅ」
「いい女だぜ、お郁よ」
「あらぁ呼び捨て嬉しやランランラン。ほんとに? ほんとに私
はいい女?」
「こうして舐めてやりたくなるほどいい女さ、胸を張って生きて
くがいいぜ。溜まったときにゃここへ来い」
閉じ合わさった花びらを舌先で掻き分けて、肉の穴をほじるよ
うに舐めてやる。ンふンふンふと甘ぁい吐息が漏れ出して、わな
わな震えて達してく、若き人妻。涙がつーっと伝っていたね。
「お豆坊、よろず按摩ってぇのはな、心を揉んでほぐしてやるこ
と。嬉しくて濡らし、喜びに舞い上がる。それでこそ女は幸せな
のさ」
「いよっ、逝かせ屋アハン!」
「おおぅ!」
SE(効果音) 鼓の音 ポンポンポンポン、ポォーン!
柳生新陰流、免許紛失。性戯の味方、伊香瀬安範。
逝かせ屋アハンの第一幕、これにて終了。
いずれ次回、さらなる変態、徐々にまじめに書いてイク?