2017年01月13日

氷川冷子(終話)


終 話


 丸一日放置したわよ。
 なぜかしら正確に二十四時間。食べるものはもちろん水さえ
飲めない。それでも奴隷部屋は静かでしたね。
 ドアをそっと開けてみる。奴隷はもちろん起きていて、ちゃんと
たたんだ布団のそばに平伏した。狭い中に便の臭気が満ちて
いる。妙に静かなその面持ちは、人間以下の生き物になったの
だと思い知った証拠かもしれませんね。
 バケツを覗き込んで笑ってやります。
「あらら、いやらしい、たくさんウンチしたんだね、臭い臭い、最
低の肉奴隷らしい汚さよ、おまえはクズ、男のクズだわ」
「はいルイーザ様」
 素直な目の色。私の声を受け止めてる。
「怖くなかった?」
「はい、何かが吹っ切れたような気がします」
「あらそ。ふふん、どうでもいいわ。奴隷の身の上などに興味は
なし。さっさとバケツ片づけて、シャワーしてらっしゃい。エサの
時間よ」

 はいと言って力なく部屋を出るタカ。小さなペニスの紫色は少
し退いていましたが、太い針で責められた乳首は倍ほどにも腫
れ上がり、後ろを向けばお尻から腿、膝の裏にかけて、血腫れ
でズタズタ。惨い姿だと思ったけれど、まだまだ苦しませてやる
つもり。

 でも・・タカが来てわずかの間に私の二十年はずいぶん遠の
いていたのよね。男への復讐のつもりで奴隷を探し、けれどもう
タカという愛奴の躾に変わっている。閉じ込めておいた丸一日、
タカのことばかりを考えていた。

 お風呂場からすっきりした姿で現れます。そのとき食卓には焼
き肉とサラダがこれでもかと盛られていて、おなかがぺしゃんこ
にヘコんでいた可哀相な奴隷の姿に、私はブラも脱いでしまい
赤いパンティだけの姿になった。
 椅子のそばの板床に正座をさせ、頭をちょっと撫でてやり、食
べ物をほおばってくちゃくちゃ噛んで、吐き戻して与えます。
 美味しいと言って涙ぐんでる・・可愛いものね、奴隷って。

「寂しかったね、狭い部屋で」
「はい・・でもルイーザ様」
「うん?」
「いろいろじっくり考えることができました。狭いところが怖くなくな
り、何かが少し克服できたんだなって思ってしまって」
「そう」
「はい、これからもどうぞ厳しく躾てください、心よりお慕いいたし
ます」
 私は頭を撫でてやって、頭なのか顔なのかはっきりしない肌
色続きの頬を撫でた。奴隷はその手に頬を擦りつけ甘えてきま
す。

 焼き肉それに生野菜、ジュースまでを口に含んで噛み砕き、
あーんと口を開ける奴隷の体の中にゲロを吐く。美味しそうにむ
しゃむしゃ食べる。そのうち噛むのに疲れた私は、食べ物をお
皿に取ってぐちゃぐちゃに掻き回し、ジュースをかけて、吐きそ
うな残飯を作ってやる。
 テーブルから少し離して置いてやると、もうね無惨で見ていら
れないお尻を向けて犬みたいに喰らうのよ。綺麗なのはお尻の
谷だけ。そしてそこには色の濃いアナルの小花がひくひくして
いる。あっという間にお皿は空っぽ。それでまた残飯をこしらえ
て置いてやる。
 私一人の四食分ほどつくったのに、瞬く間になくなった。
 食べ終えたお皿を綺麗に舐めてよこします。

 椅子をずらして横向きに座り直した私は、赤いパンティだけの
裸身を向けて、腿をたたいてここにおいでとジェスチャーする。
板床に膝で立った奴隷はすり寄り、腿の上に頬を置いたわ。
「ほら、ちゃんとお尻抱きなさい。私のこと好きなんでしょ」
「はい、大好きです!」
 お尻を抱いて、抱きすがるような姿勢になると、パンティの赤
いデルタに鼻先を突っ込むようになる。
「私の匂い覚えた?」
「はい、甘くてやさしい香りです」
「ふふふ、甘くてやさしいか・・どこがよ、私は魔女だわ、恐ろし
い女です」
 小さな白い背を撫で、ツルツルの頭を撫でて抱いてやる。
「夕べは眠れた?」
「少しだけ・・考えてたら眠れなくて」
「ふーん・・おまえパジャマは? 持ってきた?」
「あ、はい、ありますが?」
「着てらっしゃい。部屋を血だらけにされたらたまらないわよ。何
か着て寝室へいらっしゃい」
 鞭傷は血が止まっているというだけで、ちょっとこすれば出血
してしまうでしょう。

 私はほとんど眠っていない。一人の若者の人生を差し出させ
た。そのことへの想いが次々に浮かんでは消え、深く眠っては
いなかった。奴隷部屋でタカが元気だったことにほっとして、お
なかいっぱい食べたことでいきなり睡魔が襲ってきていた。
 お皿を流しに放り出し、一人先に寝室へ入った私は、パンティ
までも脱いでしまってベッドに俯せに倒れていたわ。
 ドアの開く気配を目を閉じて感じていました。

「揉みなさい、体中よ」
「はいルイーザ様」
 ベッドはダブルサイズです。真ん中に寝そべっていてはベッド
に上がらないと揉めないでしょう。タカはそっとベッドに上がり、
私の横に膝をついて体に触れた。
 首から肩、背中・・腰を揉んで、お尻を飛ばして足先から揉み
上がる。
「気持ちいいわ・・お尻もよ、よく揉んでちょうだいね」
「はい、嬉しいです、ベッドに上げていただけるなんて、夢のよう
です」

 それに返事もせず、力を抜いたお尻の両方を揉まれたとき、
私は少し脚を開いてお尻を上げたわ。
「開くようにしてアナルにキス。それからアソコも揉んでちょうだ
い。ラビアをつまむようにむにゅむにゅと。そうされるのが好きな
の」
 それは氷川の癖でした。
「は、はい・・」
「うふふ、また勃起させちゃうかしら」
 俯せのまま利き手ではない左手をそこへ伸ばすと、パジャマ
の中でカチンカチンにしていたわ。
「あ、ほらぁ・・何度言ってもカチカチね・・切り裂いてやろうかし
ら・・ふふふっ」
「はい、申し訳ございません」
「いいわ、アナルにキスなさい」
「はい!」
 お尻を開かれる感触に、私はもっとお尻を上げてアナルを曝し
た。奴隷の唇は燃えるように熱かった。

「ぁ・・ぅぅん・・感じる・・アソコも揉んで」
「はい・・はぁぁはぁぁ」
「ふっふっふ、ハアハァ言わない! お仕置きですよ!」
「はいルイーザ様、嬉しいです、ありがとうございます」
「わかったわかった、泣くな馬鹿・・ラビアをつまむようにして揉
んでちょうだい」

 指先が閉じた花をそろりと這って、ラビアの一枚をつまみます。

「ぁ・・うんっ・・あぁぁ感じるぅ・・濡れてくる・・あぁ濡れるぅ」
 お尻がくねくね蠢きます。私はたまらず、おなかの下から手を
差し込んでクリトリスをこすったわ。
「はぅぅ! んっ・・はぅぅ! ああ濡れる・・濡れる! 舐めてタカ、
よく舐めて!」
「はいぃ! お慕いしたしますルイーザ様!」

 顔ごとお尻の谷に突っ込んでくる。べろべろと舐められる。そ
のときおなかが力んだのか、ブシュっといやらしい音がして膣は
トロ蜜を奴隷の顔に噴き飛ばす。
「おまえは言ったわ。おしっこもウンチも、私の体から出るものを
飲んで食べると・・そんなことってできるもの? 試してやるから
覚悟なさい。試してもしも口だけだったら許さないから」
「はいルイーザ様、お誓います」

「ふんっ・・どうだか・・まあいいわ、さ、おいで」
「え?」
「えじゃないでしょ、少し寝ましょう。奴隷部屋でよく耐えたご褒
美よ。抱いてあげるから、おまえも寝なさい」
「はい・・ぅぅぅーっ・・」
「泣くな、うっとうしい! どうしようもないクズね・・だけど男なん
てもともとクズばかり、おまえはまだ可愛いわよ」
 大きくはない乳房に顔を埋め・・むせび泣いて・・いつの間に
か眠ってしまう・・可愛いわ・・なんて可哀想な子なのかしら。

「早く髪が伸びるといいね・・眉もアソコの毛も・・それまでよ、地
獄の中で私にすがっていなさいね・・」

 眠ったあの子の萎えたペニスを握ってやった。小さいの。馬鹿
馬鹿しいほど小さくて哀れなペニスよ。
 体中に私の想いを刻んでやるわ。鞭傷焼き印、何でもよ。
 二度ともう他の女を愛せぬように・・私だけの可愛い子。

 四つん這いでお尻を突き出させたポーズ。そのとき私は燃え
る煙草を手にしていて・・。
「アナル焼きよ、耐えなさい!」
「はいぃ! 嫌ぁぁ! 怖いですぅ嫌ぁぁ!」
「やかましい! 嫌ならトイレにしちゃうわよ! 口を開けてそこ
に寝なさい!」
 顔にまたがり、大きく開けた口の上に肛門を近づける・・ハッと
して目が覚めた・・夢でした・・。
 毛のないタカが小さな女の肌身に埋もれるように眠ってた。
 すーすー寝息。体に毛がなく横になって体を丸めた姿って、
胎児そのもの。

 時計を見ます。五時間も眠ってしまい、真夜中でした。

 こういうことがよくあった。
 性器舐めの好きだった氷川にべろべろ舐められ、私の膣は
幾度蜜を噴いたのでしょう。嫌で嫌でならないのに、紫黒い太
いペニスを突き立てられて、虚空を泳ぐようにあの人にすがった
わ。
 激しい悦びに気を失ったことも数え切れず、私はそんな自分
を呪っていた。

 この子にとっての奴隷とはそうしたものかも知れないと、安心し
きって眠る寝顔にキスをした・・。

氷川冷子(四話)


四 話


 豊かな森につつまれた開放の中、一度は靴べらを振り上げた
私でしたが、木につないだリードを解いて家の中へと這わせま
す。お尻が赤くなっていて、股の間から小さな睾丸が皮をのば
してぶらぶら揺れて覗いてる。ルイーザという魔女にすべてを
捧げた者の哀れを感じる姿だわ。
 
 家に入り、また天井から両手で吊す。つま先までまっすぐ伸び
た白いヌードは、ペニスを紫色にすくみあがらせ、お尻が少し
赤いというだけで、いまはまだ綺麗な体。このとき私は、少しず
つ私の印を刻んでいこうと考えたんだわ。
 私も脱いだ。奴隷の心を受け止めるとき、服を着ていてはつま
らないと思ったからよ。上下白のランジェリー。タカは目を輝か
せて見ています。さすがにペニスは反応しない。徹底的に心を
牛耳ってやり、二度ともう勃起しない体にしてやる・・可哀相なこ
とを考えて、けれども笑みがこぼれてしょうがなかった。

 靴べらは長さ五十センチほど。握りがあって、丸いプラのパイ
プの先がアヒルのクチバシ。赤くなった小さなお尻のすぐ下の
腿の裏をペシリと叩く。
「いい声を聞かせなさいね」
 パッシーッ!
「きゃぅぅーっ!」
「そうそう、女みたいなイキ声だわ。覚悟なさい!」
 パッシーッ! パッシーッ! パッシーッ!
 透き通ったスパンク音が邸内にぴーんと響く。
 腿の裏、腿の裏・・お尻、お尻・・フルスイングで打ち据えます。
 肉奴隷は吊られた裸身をよじりもがき、脚をばたばたさせて暴
れたわ。
「気持ちいいでしょ! 徹底的に打ち据えてやる! これしか信
じるものがないんでしょ! たっぷりあげるわ!」
「はいルイーザ様ぁ! ああ痛いぃぃ! 痛いぃぃ!」
 お尻も腿も、クチバシの痕が重なり合って、しだいに血が浮い
てくる。三十・・四十・・五十・・もういくつだかわからない。皮下
の紫色のところどころが破れ、血が滲み出してくるのです。

 尻を撫でた。手が血で赤くなる。鉄臭いいい血だわ。
 前に回って顔を覗くと、だらだらの泣き顔でしたが、陶酔するよ
うにとろんと溶けた目をしてた。
「感じてるみたいね? 気持ちいいの?」
「・・はい・・ありがとうございます」
「惨めな男よ、おまえはほんと、ダメ人間。何があったか知らない
けれど、おまえは敗者よ、負けたのよ、だらしない・・」
「はい・・ぅぅぅ、弱いからぁ・・」
「ふざけるな馬鹿! もう許さない! 拷問だわ!」
 靴べらの先を睾丸にペシペシ当てて、狙いを定めて下からベ
シッと打ち据える。
 ぎゃぉぉーっ! 喉が潰れるほどの叫び。
「ほら脚! 開きなさい!」
「はいぃ!」
 ベシッ!
「ぐわぁぁーっ! ぎゃぅぅーっ!」
 紫色に縮こまった小さなペニスの先から、白いものが垂れてく
る。
「あ、信じられない、精液まで漏らしてる・・この変態! あはは
は!」
「はい・・痛い・・痛いぃぃ・・」
「泣き言言うなら奴隷部屋よ! 閉じ込めるわよ! それでもい
いの!」
「嫌ぁぁ! それだけは嫌ぁぁ! もっと打ってぇ、あぅぅぅ・・」

 涙が出ます。吊られた体が涙に揺れて映っている。
 失望の人生を送ってきた者にとって信じられるものは多くはな
いわ。このタカには慈悲は無用。痛みを与えられること以外、私
の本気を示すことができないの。

 小さな乳首を横振りに叩き払ったとき、胸に一筋の引っ掻き傷
ができてしまう。靴べらの先が割れてしまった。いつの間にそう
なったのかもわかりません。お尻も腿も鞭腫れでぼこぼこで、肌
のところどころから血が流れ出している。
 靴べらをゴミ箱に放り込む。プラだから可燃ゴミね。主婦の感
覚が染みついてしまってる。
 あの頃は私がこうだった。SMなんてなかったけれど、二十年
もの間、奴隷部屋に閉じ込められていたようだった。

 まだまだよタカ・・血の涙を流すまで許しませんから・・女王の
想いを受け止めなさい。

 私は針を手にしたわ。手縫い針。普通の針よりずっと太くて長
いもの。奴隷の乳首をつまみ上げ、力任せにコネて引っ張り、
針先を横にあてて、顔を見た。眉を上げて冷たく笑ってやったの
よ。
「欲しいわね? 嫌だなんて言わないわね?」
 泣いた目でこくりとうなずく奴隷です。
「ぐわぁぁーっ! ぐわぁぁーっ!」
 左に貫通。そのときは獣の悲鳴。だけど次に右に刺し・・。
「ぎゃぅ!・・むぅぅ・・あぁぁん・・あぁぁん・・」
 よがり声に変わってきて、さらにこのド変態、痛みにお尻を締
めたときにまたしても精液を垂らすのです。
「よっぽど溜まってたのね、あははは! イケて気持ちいいでしょ
う」
 ツルツルの頭に手を置いて顔を上げさせ、可哀相な眸を見ま
す。まあるい眸が涙の海に溺れていたわ。

 乳首の針を抜いてやる。太い針に貫かれた乳首は、針の穴も
もちろんですけど、お乳を出すみたいに先からも血が滲み出し
て球をつくる。
 ブラを外し、パンティも脱いでやり、吊られた奴隷に寄り添って
抱いてやる。
 痛みのせいか、恐怖なのか・・悦びなのか・・タカの体が細か
く痙攣しているの。限界だったわ。脳の悲鳴が体を震わせている
と思った。
「よく頑張ったわね、可哀相可哀相、いい子だったよ」
「はいルイーザ様・・お綺麗です・・抱いてくださってありがとうご
ざいますぅ・・あぅぅぅ」
 もがくような・・心が吐き出すような泣き声でしたね。

 吊りを許すと肉奴隷はへたり込む。私は発育がよくなかったら
しく、陰毛が揃ったのもずいぶん後になってからでした。体毛の
色が薄く、翳りの中にクレバスが透けている。氷川はそれを喜
んで、鼻先を突っ込んでは舐めていた。性器舐めの大好きな
好色ジジイ。私はその餌食だった。
 へたり込んで両手をついて、お座りする犬みたいなポーズの
タカに踏み込んで、デルタの底を鼻先に突きつけてやりました。
「よくごらん、これが私よ。鼻先を突っ込んで私の匂いを覚えな
さい」
 そしたらタカ、泣き濡れた目を拭い、陰毛の奥底をじっと見て、
それから目を閉じ、股ぐらに鼻先を差し込んでくるのです。
「舐めちゃだめよ、匂いを吸って覚えるだけ」
 ツルツルの頭でこくりとうなずき、クレバスの谷口に鼻を触れ、
すーすー息を吸うのです。
「ちゃんとお尻を抱きなさい。私の本気を感じなさい」
「はいルイーザ様・・嬉しいです」
「おまえはどうなの? 私に本気?」
「はい! ああルイーザ様ぁぁ」
 濁った声・・押し潰したような呻き・・身悶えして感激している。
 お尻を抱く手もふわりとやさしく、陵辱の男手ではありません。
 股ぐらを奴隷の熱い息がくすぐって、全身ゾクゾク震えてしまう。

「どう濡れてる? 私は濡れてる?」
 こくりとうなずく。
「ヌラヌラ?」
「はい」
「おまえに感じているからよ、わかるでしょう」
「はいぃ! あぅぅぅ・・嬉しいですぅ!」
 私は泣いてた。タカの心に私は濡れた。愛液が腿に伝う冷え
さえ感じた。
 デルタから奴隷を突き放し、額を小突いてやって後ろにぶっ倒
してやりました。
 顔にまたがり、腰を降ろして、濡れのすべてを見せてやる。
「よくごらん、いやらしいでしょ、べちょべちょだわ、お尻の穴まで
濡れがまわってぐちゃぐちゃよ。おまえが私をこうしたの。奴隷ご
ときにとは思うけど、でもこうして感じているの。わかるわね?」
「はい・・ルイーザ様・・ああ女王様、お慕いいたします」
「ほんとなの! 命がけで言ってる言葉!」
「はい、お体から出るものも・・」
「え・・」
「いただきます・・飲みます・・食べますから・・」

「ふんっ・・いいわ、飲ませてあげるし食べさせてあげるわよ。そ
こまで言って嘘だったら殺すから。男の言葉として受け取るわ、
それでもいいのね?」
「はいお誓いします」

  冷子の中で心が崩れた瞬間だった。剃り上げた奴隷の頭を
  抱え込み、これ以上ない欲情にぐちゃぐちゃに濡らすアソコ
  めがけて奴隷の顔を引きつけていく。舐めなさい、もっと舐め
  なさい・・黒い欲情の証を舐めて飲み込みなさい・・愛したり
  はしないわよ、でも捨てたりもしないから。
  冷子はあられもない声を撒き散らして達し狂った。奴隷の顔
  にアクメの潮をぶちまけて、奴隷はそれをガブガブ飲んで。
  愛してる・・ラブラブよ・・それが花畑の愛だとすれば、冷子
  のそれはイバラの中で女心を血みどろにして交わるもの。
  ふふふ、私の出番はもうないわ。魔界へ帰ろう。ルイーザは
  いなくても、私の愛し方は冷子に伝えた・・。

 錯乱していた。狂うほどの快楽に、舐めさせても舐めさせても
蜜はあふれた。
 奴隷の体にかぶさって倒れ込み、失神する寸前の陶酔を味わ
った。この二十年、一度たりとなかった心のアクメを味わった。
 意識が覚醒しだしたとき、腿に触れる硬いものを感じたわ。紫
色の気色悪いペニスががちがちに勃起して、それでも情けない
ほど小さいの・・。

 あれほど命じたのに、またペニスを勃てている。
「お仕置きするわよ、可哀相だけど奴隷部屋ね」
「はい、申し訳ございません」
 タカは自分で歩いて行ったわ。あれほど嫌だと泣き叫んでいた
場所へ歩いて行った。
 扉を閉めて鍵をかける。中は昼間でも真っ暗で、豆電球だけが
一粒の希望のように灯っている。

 でも今度は叫ばない。ドアの裏側から声がした。
「ルイーザ様」
「何よ?」
「なんだかもう怖くないです、魔物がいない気がします」
「あらそ。罰として今日はエサ抜きですからね・・」

 このとき、タカが感じていたのと同じことを私も感じていましたね。
 閉じ込めた時間を確かめようと時計を見て、なんだかしばらく
ぶりに時計を見た気がしたわ。

氷川冷子(三話)


三 話


 私一人の夕食を済ませ、お風呂から出たとき、時刻は十時を
過ぎていた。何時間ぐらい放置しているんだろうと時計を見て、
そう言えば今日は時計を見ていないと思ったわ。氷川との時間
が嫌で嫌で、日々、いつ戻るかいつ戻るかと時計ばかりを気に
していた。習性とは恐ろしいもので、この家に移り住んでからも
それは変わらなかった。
 お風呂上がりでパンティだけを穿き、バスローブを着た姿で
奴隷部屋を覗いてみようとした。そしたらロックを操作する気配
だけでドアの裏側を引っ掻くような音がする。ドアは引いて開け
るようになっていた。中が狭すぎて内向きに開けられない。それ
ほど狭い空間なのね。
 ドアを開けると豆電球はついたまま。外の明かりが眩しいのか、
全身スキンカラーの気味の悪い肉奴隷は、ドアの際に体を丸め
てうずくまっていて、私を見るなり、弱く、けれど幾度も幾度も首
を振って私を見上げる。助けて助けてと言っているようでした。

 ふとバケツを覗くと、便ではなくて吐いたものが入っている。全
身汗びっしょりで、わずか数時間で感情をなくしてしまったよう
に表情がないんです。
「ほんとにダメなのね? 狭いところは怖い?」
 あうあうとタカは言葉も忘れていたわ。もしかすると幼い頃に恐
ろしい折檻を受けたのではと思ってしまう。顔も真っ青で生気が
失せているんです。

 それでタカ、怖々と私の足先に顔を寄せ、足指にキスをして、
また怒られないかと弱い上目で見上げるわ。
「出たいなら足を綺麗に舐めなさい」
 返事もできないようだった。懸命にうなずいて足の指を口に含
み、ぺろぺろ懸命に舐めるんです。
「これからもし怒らせたら一日でも二日でも閉じ込めておくから
ね。そうならないよう一生懸命できるわね?」
「はい・・ぅぅぅ、もう嫌ぁぁ、出たいぃ・・ぅぅぅぅ」
 涙をぽろぽろ。
「いいわ、おいで。お風呂、お湯残してあるから行ってらっしゃ
い。そのときにバケツもちゃんと綺麗にして」
「はいルイーザ様、ありがとうございます」

 だけどタカは立てなかった。精神的に追い詰められて、体に
力が入らない。犬のように這うのがやっと。バスルームまで這わ
せ、バケツは私が持って行ってやる。
 そしてバスルーム。ここは元々が別荘ですからお風呂は広く、
家族で入れる造りです。タイルも明るい水色柄。薄暗い牢獄か
ら解放された者のように、タイルにへたり込み、ぼーっと周りを見
ていたわ。
「動けないの? ・・もう、しょうがないわね」
 バスローブを外で脱ぎ、イエローカラーのパンティだけの姿で
ふたたび浴室に戻った私は、手桶でお湯を汲んで体にかけて
やったのです。
 そしたらタカ、ぶるるっと震え、女の子みたいに両手で胸を抱
いて私を見上げる。何をされているかもわかってないみたい。
「気持ちいい?」
「はい・・心から・・」
「え?」
「心から謝ります、ごめんなさいごめんなさい・・もう嫌ぁ、あのお
部屋はもう嫌ぁぁ・・どんなことでもしますから」
 溜息が漏れてしまう。
「ふぅぅ・・わかったわよ、許してあげます。あそこはお仕置きの部
屋にしましょう。調教に耐えられずに泣き言を言ったら放り込む
からね」
「はい、頑張りますから・・ぅぅぅ・・ごめんなさいルイーザ様」

 このとき少し母性が動いた。いったいどんな環境にいたのだろ
うとと思ったわ。子供じゃあるまいし、ちょっと閉じ込められたぐら
いで反応が異常過ぎ。トラウマなんでしょうね。幼い頃の折檻だ
と確信したわ。きっとそのときも誰かにこうして泣いて謝っていた
のでしょう。
 手桶で何度かお湯をかけ、そうしたらやっと手が動くようにな
って、自分の体を撫で回す。
「ちゃんと石鹸で洗いなさい」
「はい」
 とは言ったものの、石鹸さえうまくつかめず、滑って落としてし
まうのです。あの部屋に置いておけば狂ってしまうと思ったわ。
「もう・・」
 タオルに石鹸をこすりつけ、洗ってやるしかありません。タイル
に崩れたままの奴隷を洗い、またお湯をかけてやり、手を引い
て立たせます。少しは力が戻ったようで、立つには立った。だけ
ど子供でもひとまたぎの低い浴槽の縁を超えられない。しかたな
く手を取ったまま私がまたぎ、奴隷をお風呂に入れてやる。

 壊れかけてる・・そのあまりの弱りように私が怖くなるほどよ。
 そっと座らせようとしたら体が崩れ、支える私までが崩れてしま
った。もつれ合ってザブンです。
「あっ、パンティ! ああんもう! しょうがないわね!」
 下着を着けたまま浴槽に浸かってしまった。透き通ったお湯の
中に履き替えたばかりのレモンイエローが揺らいでいたわ。
 私が座り、体を丸める奴隷を抱き寄せ、支えてやったわ。そう
しないと溺れてしまいそうな気がしたから。
 だけどそれで乳房に甘えさせるような姿になった。
「ぅ・・ぁぅ・・あぅぅ・・」
「え? 何よ?」
 大きくはない乳房に頬を擦り寄せ、私に抱きすがって泣いて
ます。
「怖かったぁ・・ぅぅぅ・・」
「おまえ・・いったい何があったの?」
 タカは首を振って言いません。
「嬉しいです・・抱いていただけて嬉しいです」
「そんなに怖かったんだ?」
「はい、狭いところには魔物がいるから怖いんです」
「あそ。・・まるで子供ね」
 膝に抱いてやり、体を撫でて頭を撫でて、でも毛のない人間
なんて気持ち悪いわ。

 癒されてる・・。
 何でこんな肉奴隷にと思うのですが、これほど穏やかな気持
ちになれたことはなかった気がする。

「ちゃんとしてればときどき抱いてあげるから」
「はい、ちゃんとします」
「きっとよ、もう勃起させちゃダメですからね、あの部屋に閉じ込
めるからね、わかった」
「はいぃ!」

 どのぐらいそうしていたのでしょう。ようやくタカに正気が戻り、
お風呂を出るとき自分で動けるようになっていた。
 お風呂を出て、もう一度パンティを穿き替えて、お部屋に戻っ
て椅子に座る。そこへタカがやってきて、椅子の足許に額をこす
って平伏して忠誠を誓います。
 リビングは裏手の下り斜面にあって、寝室へは建物の表側に
向かって階段を数段上るようになっている。
 ダブルベッド。寝室にはカーペットが敷いてあり、しょうがなくて
奴隷を連れ込み、首輪にした綿ロープにリードをつないでベッ
ドの脚にくくりつけてやったのね。
 このときになってエサをやってなかったことに気づいたけれど、
タカはもうぐったりで、カーペットのフロアに死んだように横たわ
る。奴隷部屋から持ち込んだ毛布にくるまり、私より先に眠って
しまった。

 そして私がうとうとしかけ・・。
「もう嫌だ・・顔も見たくない・・嫌だ・・」
 寝言。やはりそう、よほどのことがあったのでしょう。
 このときはじめて、この子って可愛いと思ったわ。

 翌朝、外はすっきり晴れて気温も高い。起き出した私は奴隷
を這わせ、リードを引いて裏手に連れ出し、おしっこをさせてや
る。毛のない犬・・いいえ犬のような生命体。明るいところで覗き
込むと、小さなペニスの全体が紫色に変色していて、黄色いお
しっこを放っている。
「ウンチは?」
「いいえ、したくありません」
「そう、じゃあ行くわよ」
「はい」
「おちんちん痛いでしょ?」
「はい少し」
「情けないペニスよね、まるで子供。そんなもんなくても一緒よ」
「・・はい、すみません」
「何が?」
「小さくて」
「あはははっ、どうでもいいわ、奴隷のペニスに興味なんてあり
ません」
「・・はい」
 悲しそうにしょげる奴隷が可愛くて、お尻をちょっと蹴って這わ
せます。この子は睾丸も小さいようで、子供の性器を大人にくっ
つけたようなんです。

 お部屋に戻り、ダイニングテーブルの脚にリードをゆわいて食
事を作る。パンを焼いて卵と野菜を炒めたもの。大きなお皿で
テーブルに出し、私は座る。
 このとき私はミニスカート。正座をする奴隷からならデルタまで
見えたでしょう。白いパンティを穿いていた。欲情させて射精な
んて与えない。切なくて泣く顔が見たいから。
 フランスパンにバターを塗ってほおばって、炒めた野菜をフォ
ークですくう。そのとき奴隷のおなかが鳴った。クゥゥ・・ふふふ。
「・・食べたいの? あげてもいいけど、いま食べると寝るまでな
いわよ。日に一食の約束でしょう」
「はい」
 しょんぼりして可哀相。それで次にちょっと多めに口に入れ、よ
く噛んでぐちゃぐちゃになったものを吐き戻して与えます。
「口を開けなさい」
 そばにすり寄り、上を向いて大きな口を開けるのね。虫歯のな
い綺麗な歯をしていたわ。タカは煙草も吸わないよう。歯が真っ
白。
 パンと炒め物を合わせて噛んで、奴隷の口をめがけてぺっぺ
っと吐き戻す。

「美味しい?」
「はい! とっても美味しいです、ありがとうございます」
「あらそ。まるで豚ね。おまえは人豚、残飯でも吐いたものでも
平気で食らう」
 にやりと笑って横目をやると、嬉しそうな顔をしている。
「嬉しいの? バッカじゃない、女が吐いたものを食べるなんて」
「はい、ですけど美味しいです」
「あ、そうですか! ・・ま、吐き戻したものを一食とは数えないか
ら、奴隷にとってはそれでもいっか・・ふふふ、最低の男だわ」
「はい・・嬉しいです、ありがとうございます」

 呆れてものが言えません。それからまた吐き戻し、何度もそう
して食べさせてやりました。普段の私の三食分はこしらえた。い
つの間にか皿が綺麗になっている。
 その皿をテーブルから少し離して床に置いて舐めさせます。
犬のようにお尻を上げて、アナルを私に向けている。
「いやらしい姿ね、尻の穴まで汚らしい。タマは小さいペニスは
小さいアナルは汚い。ろくなもんじゃないわよ、おまえって」
「はい」
「ちゃんと舐めた?」
「はい、ごちそうさまでした、たいへん美味しかったです」
「うん・・まあいいわ、今日は家の中を拭き掃除。ちゃんとしない
と鞭ですからね。鞭って言ってもそんなものはここにはないの。
そこらの林で適当な枝を拾ってくるから鞭どころじゃないわ、体
中傷だらけになっちゃうからね」
「はい、一生懸命お掃除します」
「そうなさい、いい子よタカ」
 頭を撫でてやってミニスカから伸びる腿に頬を載せてやりまし
た。髪を剃ったばかりの頭を見下ろして、剃り跡が青く、眉もな
いから、すべすべした異様な肉生物が腿をさする感じがする。

 人間だとは思えないけど、不思議なぬくもりが伝わってくるの
です。
 それで食事の後かたづけに流しに立った私・・そのとき目の
前に先の丸い木のヘラが目に入り、にやりと笑ってしまったわ。
「ちゃんとお掃除できたら、これでお尻を可愛がってあげるから。
嬉しくて泣くまでよ。あはははっ」
 そのときもハッとした。今朝も時計を見ていない・・。
「パンツそれからTシャツぐらいは着ていいわ」
「はい! おやさしいです、ありがとうございます」

 ちぇ・・何言ってるんだか。何でパンティ穿いたままお風呂に入
らなきゃならないの・・ああムカつく! 風邪でもひかれたらたま
らないだけでしょう!

 などと思いつつ、私はなぜか微笑んでお皿を洗っているので
す。あんなに作ったのにぺろりですもの。
 先の丸い木のヘラは、炒め物をするときにいつも使う。料理は
得意よ。氷川に嫁いでそれしか楽しみがなかったからね。氷川
は脂っこいものが大好きで、コテコテの油料理ばかりを作ってや
っていた。早死にさせてやりたかった。なのに七十五まで生きや
がって・・ヘラを洗いながら嫌なことを思い出す。

 掃除が済んだといって肉奴隷がやってきたのは二時間ほどし
た頃でした。そのとき私はお洗濯も済ませ、あの奴隷部屋に入
って、ここをどうしようかと考えていたのです。
「どうしようね・・物置きにしちゃおうか」
 横目で見ると、奴隷はうつむいて唇を噛んでいる。
 何を思っているんだか、私はまたムラムラしてきた。自分でもよ
くわからない感情だった。
「お掃除ちゃんとしたわね!」
「はいルイーザ様」
「調教よ、素っ裸!」
「はいぃ!」

 裸にさせた肉奴隷を這わせ、リードをつないで裏庭へ連れ出
します。天気がいいわ。陽射しがギラギラ。
 庭の真ん中にある木の幹にリードをつなぎ、素っ裸の奴隷を
這わせたまま、私はまたいで背中に座った。私は百五十センチ
もなく四十キロ台前半で体が軽い。座ったぐらいでは腰も落ち
ない。
 あのヘラではなく、取っ手のあるプラの靴べらを持って出た。

 お尻をそろりとなぞってやって、振り上げて打ち下ろす。パン
パンといい音が森に吸われて消えていったわ。
 それほど強く打ってない。真っ白な尻がくねくね揺れていやら
しい。子供みたいな小さなお尻。
「揺らすな! 私を落としたら奴隷部屋よ!」
 などと言いながら、靴べらを持たない左手で赤くなりだしたお
尻を撫でてやってます。
「おまえ・・戻りたくない世界があるんだね?」
「はい」
「そう・・わかった・・」
 この子に下手な情けは無意味だと思います・・。

氷川冷子(二話)


二 話


 女は母となる性だから、やさしい性だと言う男どもがいる。それ
 は女のある側面であって、それだけを捉えてやさしい性などと
 言うのは視野狭窄のなせるわざだよ。母がやさしいのは子に
 対してのみであり、その精液を誰からもらったなどとは、さして
 重要なことではない。
 夫がもし危害を加えるようなら、女は即座に夫を葬る。葬り去っ
 て、わが子にだけは微笑むだろう。
 女の心には魔女の入り込む部屋があり、私などいつでもそこ
 を訪ねることはできるのだ。私は血の魔女、ルイーザ。幾多の
 女たちを癒し、苦悩から救ってきている。
 出ていけと言うか? ふふん、魔界で眠っていた私を呼び寄
 せたのは冷子だよ。二十年前・・私にとっては数秒前の出来
 事にも等しいが、冷子は心の中の魔女の部屋に私を呼んだ。
 そしていま、タカという変態奴隷を私は捕獲し、与えてやった。
 冷子とルイーザを同一視したとしても、それは大きな間違いで
 はないだろう・・。


 体に毛のない奇妙な生き物が私のクルマを洗う姿を、私は窓
のこちら側からほくそ笑んで見ていたわ。鬱蒼とした森の木々
は打ちつける雨粒を霧として草木に配り、そんな中で異様に白
い裸男はいっそう際立ち、乾ききった私の心に風邪なった霧の
雨を届けてくれた。カーポートととまでは言えない半屋根の下、
タカの白い全裸は不気味に蠢き、子供のような小さなペニスを
ちょろちょろさせて・・だけどクルマだけは綺麗になった。
 乾ききったミイラの私に、ほんの少し霧を与えてくれるもの。そ
れがいまのところのタカの存在。もう少し霧を吸えば、乾いた肌
も潤って、そのうち指先ぐらいは動くようになるのかも・・。

「終わりました女王様」
「ちゃんと綺麗にしたでしょうね」
 言いながら私は、全身スキンカラーの奴隷の肌が、霧の雨に
潤っていると感じていた。全裸では寒いのか、大人にしては小
さすぎるペニスは、縮こまってさらに小さく、少し可愛がってみよ
うと思い立つ。
「それでタカ、私のことはルイーザ様と呼びなさい」
「ルイーザ様ですか?」
「そうよルイーザ。そんな声が聞こえたの、ルイーザと呼ばせるよ
うにって」
 手の中に黒いロープを握った私は、タカの両手を縛り上げ、
その縄尻を天井を横切る丸太の梁に通して吊ってしまう。つま
先立ちになった奴隷は、縮み上がるペニスを突き出して体が伸
びきっていたのよね。
 着ているものを脱いでやり、黒い上下の姿となって、タカの裸
身にまつわりついた。このときの私はニタニタと恐ろしく笑ってい
たと思うわよ。
 私の裸に奴隷はどう反応するのか・・。

 椅子を引き、陰毛を失ってなおさら幼く見えるペニスの頭をつ
まんでやったわ。
「何よコレ、小指ほどしかないじゃない。あははは、こんなもん、
あってもなくても一緒よね」
「はい、ルイーザ様」
「女と見るとすぐに勃てる男が嫌い。いいことタカ、勃起厳禁よ。
私に対してもしも勃てたら、そのたび拷問。決めたわ、射精なん
て生涯させない。どういじっても勃起しない奴隷にするから」
「は、はい、ルイーザ様」
 まっすぐな目で残酷な命令を受け取る奴隷。
「ふーん、それでいいの? おまえは何のために生まれてきた
の? 心にもないことを・・」
 小さな亀頭を指先でコネ潰し、ツネり上げてやりました。
 タカはちょっと呻いたけれど、目を閉じてすっかり観念したよう
です。

「ねえタカ、私は綺麗? 私もチビよ。胸だってぺしゃんこだわ。
こんな私でも慕ってくれる?」
「はいルイーザ様、とんでもないことです、とてもお若くお綺麗で
す、心よりお慕いいたします」
「そう・・ありがとう。では私の意のままね。勃起は厳禁、射精はな
し! 与えられる辛さを悦びとするように」
「はい! お誓いいたします!」
 亀頭をいじり、ツネり伸ばしているうちに、なんだか少し血が集
まって硬くなってきたようで・・ふふふ、もう誓いを破ったわ。

「ふふん、心にもない証拠に、もう大きくなりだしてる」
「・・はい・・気持ちいいです、ありがとうございます」
「ありがとうございます? それもまた不思議な言葉ね? お仕
置きです!」
 薄い胸に二つくっついた小豆粒ほどの男の乳首を洗濯バサミ
で挟みつけ、吊られて揺れるタカの背に下着姿でまつわりつい
て、小さな尻を揉んでやり、髪の毛がなくなってぴょこんと飛び
出す妙な耳たぶを舐めてやったり噛んでやったり・・そうするとも
うお仕置きのまぬがれないペニスになる。
 て言っても、所詮は小さな勃起。真上を向いても十センチある
かないかの性器です。

 前に回って椅子に座り直し、真上を向いた奴隷の欲情を見据
えてやったわ。醜い。ひたすら汚い男性器。
「乳首を責められて感じるんでしょ。体中に触れられて嬉しいん
でしょ」
「はい嬉しいです、ルイーザ様」
「それで勃起させてるわけね・・なるほど・・もうダメよ、お仕置き
は厳しいわ」

 あのとき、二十歳だった私はもちろん処女ではなかったけれど、
中年男の紫勃ちするイチモツが恐ろしく、ひいひい喉で啼いて
耐えていた。好きでもなく好きになれそうもない男のペニスよ。
 悲しかった・・苦しいだけの夜が続いた。体の小さかった私は
膣も狭いらしくって、結婚からしばらくは痛くて痛くてならなかっ
た。濡れなかった。愛してないから。なのにあついはツバをつけ
てブチ込んで来たのよね。
 タカの勃起に腹が立つ。奴隷のくせに私を欲しがり大きくして
いる。穿いていたスリッパを手にしたわ。氷川のモノとは比べも
のにならないちっちゃなモノを、スリッパの裏でひっぱたいてや
ったわよ。横から茎を、縦に振って亀頭をね。

 叫んだわ。吊られた裸身の尻を退いて逃げようともがいてる。
 ペシペシと・・パシンパシンと、怒りのままに振りは強くなってい
く。乳首の洗濯バサミがぶらぶら暴れ、奴隷の肌から脂汗が浮
いてくる。目を見開き、白目を血走らせて、奴隷は叫んだ・・。
 可哀想などとは思いません。母性は今日は眠っているよう。サ
ディストの性感は奴隷の悲鳴でさらに高ぶり、ゾクゾクし、私はき
っとヌラヌラに濡らしていたと思うのです。
「ほうらタカ、紫色になってきたわよ、気持ちいいでしょ。何だか
妙に曲がってきたわね。内出血で変形してる」
「はいルイーザ様・・痛いです・・痛いぃぃ・・」
「いいわ、少し萎びてきたから許しましょう」
 私は乳首に手を伸ばし、洗濯バサミを開かずに引きちぎるよう
に外してやった。そしたら・・うわぁぁ! ぎゃぅぅ! ・・だって。
 ふふふ、いい声で叫びます。

 滅多に吸わない煙草に火をつけ、涙だらだらの泣き顔を見上
げ、紫煙を吹きかけてやったのです。奴隷は怯えていましたね。
 一口二口と吸ってオレンジ色の火種を見せつけ、肉棒まるご
と紫色に変色したペニスの先に近づけてく。
「焼いてあげようか」
「嫌ぁぁ嫌ぁぁ! ごめんなさい嫌ぁぁ!」

  ふふふ、可愛いものでしょ男って。
  「そうかしら・・ぜんぜん・・醜いだけの生き物よ」
  あらあら、魔女の私より生きてる女は怖いわね・・。

「身にしみた?」
「はい! ごめんなさいルイーザ様、お叱りを受けないよう頑張り
ますから、少しだけ時間をください、お願いしますぅ!」
「時間をくれか・・それでどう変わるのか見物だわ。ペニスが嫌な
ら乳首にしましょうか」
 煙草の先を近づけていくと泣き叫びます。面白い。ゾクゾクす
るほど面白い。
 溜息をついて立ち上がり、奴隷の後に回り込む。
「お尻がいいか・・この綺麗なお尻を焼け焦げだらけにしましょう
か」
「ああ嫌ぁぁ! お願いしますぅ、嫌ぁぁ嫌ぁぁ! えぇーん! え
えぇーん!」
 体をじたばたさせて号泣する奴隷・・私は煙草を持たない左
手の指先でお尻をちょっと突いてみた。
「ほうら熱い!」
「ぎゃぅぅ!」
「あっはっはっ! 煙草じゃないわよ、あっはっはっ!」

 吊りを許し、そしたら奴隷は足許に平伏しました。
「お許しくださり、ありがとうございます」
「何でお仕置きされたか、わかるわね?」
「はい! ルイーザ様に対し、いやらしくも勃ててしまいました」
「うん、そうよ。身にしみて反省したなら足にすがりついてキスな
さい。生涯の忠誠を誓うのです」
「はい!」
 足許ににじり寄り、平伏す姿をつくり直して足先にキスします。
「思い知らせるために今日はエサ抜き、わかったわね。奴隷部
屋で反省なさい」
 裸のまま部屋に押しやって閉じ込めた。ウオークインクローゼ
ットだった場所。中は一畳ほどしかありません。薄い布団と毛布
だけは与えてあり、トイレはバケツ。押し込めて扉を閉ざし、鍵を
かけてしまいます。中はほんとに豆電球がひとつだけ。水さえ
飲むことはできません。

 そしたらタカは・・うふふ、まさかの声を上げたのです。

「ルイーザ様ぁ! 嫌ぁぁ! ああ嫌ぁぁ! 狭いところはダメな
んですぅ! 怖いんですぅ! ああ嫌ぁぁ! 助けてぇーっ!」
「あらま・・もしや閉所恐怖症? あはははっ! 苦しめ苦しめ、
泣きわめけ!」
「嫌ぁぁーっ! うわぁぁーっ! 助けてぇぇーっ!」
「うるさい! 静かにしろ!」

 放置してやりました。狂う寸前まで追い詰めてやるつもり・・。

 男がその気になれば蹴破れるぺらぺらのドア一枚・・私はパ
ンティに手を突っ込んで、二十歳だったあのとき以来、嬉しくて
濡れるおまんこをまさぐった。

氷川冷子(一話)


一 話

 私は冷子。主人を亡くした翌月に四十になった。主人の氷川
は七十五で世を去った。くしくも氷の川に冷えた私は嫁いだの。
どれだけ私は冷たいのって可笑しくなるわ。
 短大を終えようとした二十歳の頃、父のやっていた町工場が
倒産しかけた。負債が五千万はあったらしい。そのほか家のロ
ーンなども含めると命と引き替える保険金でもまかなえる額じゃ
ない。
 取引先に氷川という資産家がいたのよね。二度も奥さんと別
れたようなどうしようもない奴よ。私と引き替えに負債分の五千
万、当座の運転資金としてさらに二千万用意する。それでどう
だ?
 私には妹が二人いて、すぐ下が高校を出たばかり、末の妹は
高校一年生。そうするよりしょうがなかった。父親よりも母に泣き
つかれたことがすべてだったわ。大好きだった母でさえ私を捨
てたということです。私が犠牲になれば一家は救われる。

 だけどそれにしたって相手は五十五。いいえ歳なんていいの
よね、愛せる人なら歳の差は気にならない。その歳にしては若
く見えたしハンサムな部類だった。しかしまあ、お金が有り余っ
てて見た目がよければ、ろくなもんじゃないでしょう。あの人はま
さにそんな男だった。子供なんて最初からつくるつもりもなかっ
たし、嫁ぐときこっそり避妊手術を受けていた。
 あの人には先妻二人との間にもちろん子がいて、当時、長男
が二十六、次女が二十四。それに腹違いの三女が十六よ。二
十歳の私がどうやって母親になれますか。
 皮肉そのもの、名前も氷川。それこそ冷え切った二十年だっ
た。七千万で売られた娘。避妊手術を受けて嫁ぐ二十歳の娘
の気持ちがわかる?
 父の工場は持ち直し、それからも度々融資を受けて、都合一
億近いお金を回して不況を乗り切ってきたのです。

 私は帰る実家さえなくしてしまった。父や母には会いたくもな
い。妹たちだって会えないわけではなかったけれど、一緒にい
ても笑えない。あの子たちは幸せな結婚をして子供にも恵まれ
ていた。手術をして、だから子供ができないなんて、私は誰にも
言ってなかった。
 その氷川がとうとう逝ったわ。妻としてしかるべきお金は手にし
ましたが、私は何のために生まれてきたの。氷川が死んで氷川
の家とも縁を切った。この二十年私につきまとったすべてをもの
をデータを削除するように切り捨ててしまいます。離婚すると金
銭的に不利ですから氷川を名乗っているだけなのよ。

 小淵沢の別荘地で廃屋同然だった物件を見つけて移り住ん
だ。ここだってそうだわ。どこかの小金持ちの所有だったものが
長い不況でうち捨てられた。
 でもロケーションは最高。別荘地の中でも自然のままの山に近
く、住んでる人もまばらだわ。都会はもう嫌、人の顔なんて見たく
ない。山の中の小さな家は、私にとって女を生き直す場所だった
のです。
 そしてあるとき買い物で街へ降りた私は、カフェで思ってもい
なかったものを見る。田舎のことですから表紙のむしれたような
古い女性誌が片づけもせず置いてあり、なにげに手に取ったの
です。
 ペットを飼う妻たち・・どこにでもいる普通の女が、じつは男を
飼って君臨している。そしてそれを望むマゾ男が増えているとい
うのです。雑誌は半年ほども前のもの。その頃ちょうど氷川が倒
れ、そう言えば雑誌なんて読んでなかった。

 頬を打たれたような気がしたわ。なんてひどいと思いながらも
息が詰まり、そのときになっていきなり孤独が襲ったの。二十年
もの間の救いがたい孤独です。
 家に戻って早速ネットを見渡した。それまで見たこともなかった
FEMDOMの世界の中にのめり込んでいったのです。
 私はまだ四十よ。女の炎は残っていたし、自由となれたこれか
らこそが人生なんだと思ったとき、心の底から黒い炎がごうごう
と燃え立った。男が憎い。いいえ相手が女でも同じこと。私は母
さえ憎んでいました。
 そうやってもやもやとネットを見ているうちに、世の中の女王た
ちが奴隷を探す掲示板に行き当たる。キイを打つ手が震えまし
たね。

  消えることができるなら 男でも女でも
  小柄なほうが私は好きよ 氷の魔女より

 氷の魔女・・最後にそれをタイプするとき、まさにそうだと思っ
たわ。私は怖い女です。ネットで見たSM的な言葉はどれもがう
まくハマらなかった。そうなのか違うのか、私には、私が何をした
いのかがわからない。
 メールはなかった。一日また一日と過ぎていくほど、メールな
んて来なくてよかったと思い直す。募集した意味が私の中で消
化されて答えとなって見えてきていた。失われた二十年への復
讐です。情や慈愛などは一切持てず、人を一人壊してしまう。
 そんなことにならなくてよかったと思うのですよ。

 一月ほどが過ぎていき、すっきりとした秋空に変わる頃、気持
ちの持ちようが変化したのか、もういいやと思えるようになってい
た。散歩した。近くにゴールデンレトリバーを飼う人がいて、マイ
ク君て犬ですけれど、どういうわけか私に懐き、楽しく遊んで来
たのよね。
 気分を変えて家に戻り、なにげにパソコンに目をやると、メー
ル着信のランプがチカチカ。

  僕のほうにもひとつだけお願いがございます。
  過去のことは訊かないでくださいね。
  本橋行孝、27歳。157センチと、とてもチビです。

 ご機嫌をうかがうような余計なことは書いてなかった。それだけ
にピンと来ましたね。この子は本気。そう思う。
 一度だけメールをやり取りし、そのとき写真貼付で返事が来て、
会うことに決めました。電車で小淵沢まで来るという。四人兄弟
の三男坊。知りたかったのはそれだけでした。彼が消えても彼
の家は困らない。
 その日は土曜日。小淵沢の駅で待ち合わせ、私はクルマの
中から駅を見ていた。電車が着いて駅から人が出てくると、そ
の子は申し合わせた通りの姿で現れた。黒と茶のツートンのナ
ップサックを肩にかけ、上下ジーンズ。髪の毛の中途半端に長
いいまどきの若者です。二十七では若者とは言えないかも知れ
ませんが、こうして外で見ると顔が小さく、チビで痩せ。全景がコ
ンパクトだから学生のようにも思えたわ。
 しばらく様子を見ていると、言葉通り一人で来たようで、道ば
たの縁石に座ってしまう。こちらは女が一人ですからね。用心す
るにこしたことはないでしょう。
 クルマの中から電話して、目の前のカフェを指示します。

「本橋君ね」
「あ・・はい」
 ふふふ、私を一目見て、えって言うような面持ちに。
 白いジーンズミニにジャケットを羽織っただけの普段着であり、
私も背は小さくて、百五十もありません。細身だし、胸は寄せて
上げてBがやっと。童顔で、とても四十には見えなかったことでし
ょう。
 この子ってそばで見ると鼻も口も顔の造作がコンパクト。男の
くせになまっちろく、華奢な印象。向こうもきっと同じことを考えて
いたのでしょうけど。
「はじめまして本橋行孝です、今日はお会いいただきありがとう
ございました」
 礼儀のきっちりできた子です。子供じゃないから当然ですけど。

「私を一目見てどう? イエスかノーかよ?」
「はい」
「お話ししたように無条件でいいのね?」
「はい」
「わかりました。それでいつから?」
「三週間お待ちください」
 丸いというより円らな眸・・こういうことの経験はないと言う。
「約束したように何も訊かない。でもそれはお互いによ。それと
ひとつ、これからのことは私の意のまま。誓えるから今日来たと
思っていいわね?」
 唇を噛んでうなずきます。意思のある面持ちでした。
「私の家、覗いてみたい?」
「いいえ、どうぞよろしくお願いいたします」

 その日はそれでおしまいでした。

 三週間。住むお部屋を引き払い、仕事も辞めて、携帯さえ解
約する。そのぐらいの時間はかかるでしょう。早い方だと思うわ
よ。それだけの覚悟はできている・・いよいよ明日というときにな
って、私はちょっと心が痛んだ。
 でもそれはすぐに消え去り、燃え上がる黒い炎に焼かれてい
たわ。

 平日の火曜日でした。昨日からずっと雨。別荘地のこのへん
は閑散としています。
 このあいだのナップサック、それに大きなスポーツバッグを提
げて現れた。荷物を二つともトランクに入れさせて、クルマをスタ
ートさせました。クルマはダークブラウンのゴルフGTI。このとき
の私はジーンズにジャケット。あの子はライトブラウンのコットン
パンツに、あのときのジージャンを合わせている。
 北へハンドルを切っていく。このあたりは県境が入り組んで山
梨と長野を行ったり来たり。クルマはいよいよ山の中に入って行
きます。

「しばらく見ることのない景色だわ、よく見ておきなさい」
「・・はい女王様」
 前を見て運転していて、女王様というその言葉にちらと横目を
流すと、静かで弱く、それでいて新しい生き方を受け入れようと
する潔い横顔だった。鼻筋は通っていても鼻が小さく、女装させ
ると女の子でもイケそうよ。

 雨で飛ばせない山道を三十分ほど。道はあちらへこちらへ枝
分かれして、あるところから舗装されていない家への道に踏み
込みます。舗装はなくても道はそれほど悪くなく、森の中へと延
びる遊歩道の感覚かしら。木々が茂り、夏の残るいまは下草も
はびこって、クルマはまるで陸の孤島へ走るよう。
「さ、ここよ、降りなさい」
「はい、素敵な別荘です」
「別荘だったのよ。私が一人で住んでるの」
 放置された薄汚れた白い洋館ふうの建物でしたが、外壁を茶
色にし、自然に溶け込むように手直ししていた。このへんには
外灯さえなく、夜になると闇に溶けて窓明かりでしか家があるこ
とがわからない。平屋に見えますが裏手が落ちくぼむ斜面にな
っていて一部二階建てというのがほんとのところ。
 荷物を持たせて家に入れ、すぐさまキッチン続きの板床に正
座をさせます。

 木のチェアを引いて私は座り・・このときは私の眸はもう恐ろし
いほど冷えていたと思うのです。
「行孝だからタカと呼ぶわね。奴隷部屋はそこ。ウオークインク
ローゼットだったところを改造したの。ドアには鍵がかかり、中に
は豆電球があるだけで窓さえなく、もちろんトイレなんてないか
らね。バケツを持ち込んでおきなさい」
「はい女王様」
「それからのことはおまえ次第ですけれど、ひとつ最初に・・」と
言いかけて、お喋りするよりはじめたほうが早いと思う。
「脱ぎなさい」
「はい女王様! 懸命に励みます、厳しく躾てくださいませ」

 恥ずかしいのでしょう、頬を上気させて脱いでいく。色が白い
から女の子みたいに頬が赤らむ。
 華奢な体。胸が薄く乳首が小さく、おなかなんて、少ししかな
い筋肉が浮いている。体毛の薄い子で陰毛も濃くはなく、脚に
も毛がありません。
「小さなペニスね、使い物になったのかしら」
「・・はい、コンプレックスでした」
「ふんっ、おまえみたいな者でも好きなった女がいたんだ? ほ
んと弱そうな男だわ。いいわ、お座り」
 正座をさせると萎えたペニスが股間に隠れてしまうほど。包茎
ではなく亀頭はちゃんと出ていますが、だからよけいに小さく見
える。お尻も小さく子供のようです。情けない姿だわ、男のクセ
に女にかしずく変態マゾ。
 私は早速、用意しておいた手製の首輪を手に首に回す。革
ではなく、小指ほどの太さの黒い綿ロープを三つ編みにしてお
いたもの。首に回し、長さを決めて、針と糸で縫い合わせてしま
うのです。丸い金輪がついていてリードだってつけられます。
「これでもう外せないから。最初はこれで充分よ、いい奴隷に育
ってきたら素敵な首輪に替えてあげます」
「はい!」

 それから・・素っ裸で裏のテラスに連れ出して、ハサミでザクザ
ク髪を切り、カミソリで剃り上げて・・もちろん陰毛も、眉毛までを
も処理してしまい、全身に毛のない化け物にしてやった。体中に
へばりつく毛の残骸をホースの水で吹き飛ばし、ふたたび今度
はテラスのコンクリートに正座をさせた。
「吐きそうな姿だわ、情けない変態男にぴったりよ」
「はい女王様」
 消えそうな顔色です。いい気味だわ。厳しく見据えてやりまし
た。
「言いかけたことだけど、よくお聞きね!」
「はい女王様!」
「髪の毛が肩に届くまで射精なんて一切禁止よ。溜まって漏ら
すのはしょうがない。おまえには快楽なんて一切やらない。寝る
ときもいじれないように後ろ手に縛っておきます!」
「はい女王様・・」
「言いつけにそむいてオナニーなんてしてるところを見つけたら
亀頭を煙草で焼きますからね。一切しないと誓いなさい!」
「はい女王様、一切の快楽は求めません、お誓いいたします」
「よろしい。しばらく食事は一日一度。身分をよく考えて過ごしな
さい」
「はい女王様!」
「わかったらクルマ洗ってらっしゃい。舗装がないから泥だらけ
なのよ。クルマはいつも綺麗にしておくよう。わかったわね」
「はい女王様!」

 すっ飛んで出ていく気味の悪い裸奴隷を、私はもう人間だと
思ってはいなかった。